1対1の会食ならば、カウンターが鉄則
「ランチョン・テクニック」という言葉を知っていますか?
心理学者のグレゴリー・ラズランが提唱している食事をしながら相手と交渉する手法で、美味しい食事や楽しい時間が、話の内容にポジティブに結びつくというものです。
食事をシェアすることでその人たちの関係をよくするという、日本で昔から言われている「同じ釜の飯を食う」なんて、そのまんまですね。
ドイツのマックス・プランク研究所によると、79頭のチンパンジーを「食事をシェアしたチンパンジー」と「食事を独り占めして食べたチンパンジー」とで分けて、それぞれの尿を検査したところ、食事をシェアしたチンパンジーの方には、愛情ホルモンである「オキシトシン」が多く含まれていて、独り占めした方は、そうでもなかったそうです。
食べ物をシェアすると、その人との距離を縮める愛情ホルモンが出るなんて、なんだかロマンティック。
ということで、今回は、「会食」においての相手との「位置としての距離」と、「心の距離」について書いていきます。
1対1で会食するとします。英語で言うと、マンツーマン会食。バスケットボールで「マンツーマンディフェンス」という、常に特定の相手に対して1対1でくっつく守備の方法がありますが、常にお互いを近距離で見つめ合いながらのこの体制は、緊張感がハンパないですよね。
これと同じで、2人で食事に行く時に向かい合って座るテーブル席を選ぶと、もう何十回もその相手と食事に行っていればそんなことはないでしょうが、その人と食事をするのが初めてだったり、2~3回目の場合はやはり多少の緊張はするものです。
デートのマニュアル本には女性を口説くならカウンター席で、と書いてあります。話す時にお互いに横を向き合ったり、人に聞かれたくない話をする場合は、顔と顔を近づけて肩と肩が触れ合ったりして、親密感が湧いてくるから。
でもこれは、ただ単純にカラダが近づくから親密になれるのではなくて、正面を向けばカウンター内の料理人が調理しているところを眺めていられるので、ずーっと相手の目を見ていなくてもいいのと、ずーっと話すことを考え続けなくてよくて、リラックスできるからなんだと思います。
これは、カップルだけでなく、会社の上司、クライアント、同僚、その他仕事仲間などでも同じこと。特に男同士でテーブルで正面でずーっと見つめあっているのは気まずいですよね。僕は、イヤです(笑)。
男同士でも1対1なら、やっぱりカウンター。特に仕事の内密な話をする場合、近づいてヒソヒソしやすいですしね。
そして、カウンターで相手と話しながら、料理人も見ながら食べられる代表的な店と言えば、寿司か焼鳥(他にもありますが、なんせこの2つが好きなもので)。
焼鳥屋はたいていガヤガヤしているので、気にならないのですが、寿司屋に関してはオシャベリしていると怒られそうなピリピリした高級店もあれば、にぎやかにしてもOKな店もあります。