「越境EC」への期待が高まってる
—今回のテーマは、いま注目を集める「越境EC」です。まずはトレンダーズが、これまでどのようなインバウンド支援事業を行ってきたのか教えてください。
企業のインバウンド事業への機運の高まりから、2014年から事業化を進めてきました。その第一弾として2015年4月に、日本の絶景を世界へ発信するWebメディア「ZEKKEI Japan」を立ち上げました。ストックフォトのアフロと提携して、プロカメラマンが撮った高品質な日本の風景写真を掲載し、東京・京都に限らず日本の地方の良さを発信することが目的です。公開早々にFacebookが100万「いいね!」を超えて、順調なスタートを切りました。
—「ZEKKEI Japan」などのメディア事業に加えて、企業のインバウンドを支援するプロモーション事業も展開されていますね。それらの事業を通じて、「越境EC」の重要性に気付いたのでしょうか。
はい、メディアの立ち上げと平行して、企業のインバウンド施策の支援を始めました。インバウンドマーケティングのポイントは、訪日前の情報提供にあります。日本に訪問する予定の中国や台湾といった訪日外国人の購入リストにクライアント企業の商品を入れてもらうための、現地プロモーションに力を入れてきました。これはもともと私たちが日本でも得意としてきたマーケティング領域の仕事。中国で人気を集めているSNSの「Weibo(ウェイボー)」や「WeChat(ウィーチャット)」などを活用しました。
ただ、現地でヒアリングを重ねてきたところ、当たり前ですが、訪日外国人にとっては商品単位で店を回るよりも、店舗単位で商品を購入する方の効率がいい。そこで、店舗とメーカーが組んだタイアップキャンペーンを企画しました。
2015年10月から2016年3月末にかけて、資生堂のキャンペーンをドラッグストア23店舗で実施。資生堂の商品を一定額以上お買い上げの方に、店頭でノベルティをプレゼントする訪日前~訪日中マーケディング施策を行った。店舗でも簡体字ツールでQRコードを大きく掲示し、キャンペーンサイトへ誘導したところ、想定以上の流入があった。
また、あるドラッグストアでは、訪日外国人の客単価が日本人の数倍になっています。その中には、お土産品としての購入も含まれますが、自分で使用する分も入っています。旅行から帰った後に現地で商品を使用すると、「また買いたい」と購入意向が高まることが予想されます。そこで、「越境EC」へのニーズも高まりました。
—訪日外国人側だけでなく、日本のメーカー側も「越境EC」への期待が高まっていた?
もちろん、そうですね。一方で、課題もありました。
越境ECを実現するための、プラットフォームはすでに多数存在していましたが、日本メーカーからすると、その活用のハードルが高かったのです。出店しただけで売れるわけはなく、プラットフォーム上でのプロモーションは自社で行わないといけない。また、出店料と販売手数料などのコストも掛かる。さらには、中国独自の商流があり、商品をカートに入れた後に、消費者と企業がチャットで価格交渉を行うといったこともありました。
そこで、どんな「越境EC」であれば、日本企業にとってメリットがあるのかを探っていました。
—その結果、トレンダーズが越境ECに参入するうえで選んだパートナーが「bolome(ボウロウミイ)」だったということですね。どこにメリットを感じたのでしょうか。
サービスの独自性です。まずは、bolomeがプラットフォーマーでは無く在庫リスクを持った通販事業者ということ。そして一番の特長は、中国国内にいながら日本の店頭価格で商品が購入できる、という点です。いまソーシャルバイヤーと呼ばれるプロの業者が日本のドラッグストアで大量に商品を買い、現地のCtoCサイトを使い高値で販売することが起きています。中国のユーザーからすると、日本の店頭価格で購入できるメリットは大きい。
さらに、参加したメーカー自らが動画の実況ライブでユーザーに語りかけ、商品をアピールできます。これは偽物が多い中国マーケットでユーザーに信頼感を与えることが目的なのですが、メーカー側から見ればブランドコントロールという意味でも価値があります。
—実際に、bolomeを活用した事例について教えてください。
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