多様な視点を大切にするのもメーカーの役目
笹谷:これだけネット文化が発達して多様化の時代に突入しましたから、いろんな意見、捉え方があるのが当たり前なんです。レビューの記事では、できるだけ多くの方に多くの視点で語ってもらった方が効果的だと思っています。
藤崎:効率論で言うと1回で100万人に届く方法が効率は良いと思いますが、でもユーザーはいろいろな人がいるので、10人とか20人とかのレビューの方がユーザーには有意義なんですよね。
笹谷:そうなんです。今はこれだけインターネットで検索が当たり前になっているのですから、いろんな趣味趣向の方がいますから多様な意見があるべきだと私は思っています。
藤崎:同じ結論だとしても、1人の強大なパワーが言うことよりも、10人のファンが言っていることの方が信じてもらえるというのもありますよね。
笹谷:そうですね。その時にあくまでユーザー目線で、良いことだけじゃない厳しいご意見もそのままにしておかないと、信頼性につながらないという根拠にもなっています。だから、私はXperiaユーザーの信頼を得られるブランドになれるようアンバサダーの方々に鍛えて頂ければと思っています。
藤崎:あくまでユーザーが主役ということですね。
今回のポイント
- 本当のファンに集まってもらいたい
- ダメなところも受け止めたかった
- メーカーとユーザーも人と人のお付き合い
- クチコミとはお客さんからのメッセージ
- ユーザーからのネガティブ補完アイデア
- 多様な視点を大切にするのもメーカーの役目
今回のまとめ
笹谷さんの問題意識の根底にある「メーカーとユーザーの関係」は、大変考えされられるものでした。笹谷さんは、ひとり一人のユーザーを主役に据え、商品のそれぞれの使い方や、メリット、デメリットなど、できるだけたくさんの意見が商品をとり囲んでいる状態をつくろうと考えています。しかし、それは、ひとつのメッセージを主役に据える従来の「広告」では不可能だというわけです。ダメなところも受けとめて、多様な意見を重視するというお話は「メーカーとしてどこまで誠実さを追求するか」という姿勢に関するお話だと感じました。
メーカーとユーザーの関係を「人と人の関係」近づけたいというお話も印象的でした。考えてみれば、それが本来の企業とお客さんのあるべき関係ではないでしょうか。マスメディア・マスマーケティングが高度に発展した挙句に、スイッチをひとつ押せば、一斉に情報が伝播し、みんなが一斉に振り向くような仕組みをイメージしがちですが、現実はそんなメカニズムはありません。企業とファンの接点をどう捉えるのか。それは担当者の考え方次第です。Xperiaのファンの熱量が高いのも、笹谷さん思いがユーザーに伝わっているからだと思いました。
今日は理念編でした。明日は成果編をお届けします。