「枠」から「ワクワク」を売るビジネスへ — 新聞広告の今後

マスメディアからインターネット、アウトドアまで、広告メディアについてのあらゆるデータを収録した書籍『広告ビジネスに関わる人のためのメディアガイド2016』(博報堂DYメディアパートナーズ編)が、4月から全国の有力書店・オンライン書店で販売されています。「メディアガイド」は、博報堂DYグループの社内向け冊子を2015年に初めて書籍化したもの。2年目となる2016年版は、すべてのデータを最新版に更新したほか、特別企画「2016年メディアビジネス大予測」を盛り込みました。コラムでは、本書の編集に関わった博報堂DYメディアパートナーズ社員が、各メディアのトピックを紹介します。

新聞メディアが持つ2つの力

いつ・どこでも情報入手が可能なスマートフォンの普及など、デジタル領域拡大の影響もあり、新聞全体の発行部数は緩やかな減少傾向が続いています。特に、若年層の新聞閲読率・閲読時間の低下は顕著です。また発行部数減少に加えて、広告効果の可視化が難しい点も、昨今の新聞広告費減少の要因の一つになっていると思われます。

しかし、新聞メディアの影響力はまだまだ健在であると考えています。
その理由としては2つあります。

1つは新聞記事の拡散力です。

新聞記事の信頼性は変わらぬ価値です。この情報が社会で様々な議論を生み、生活者を動かす力を持っています。その記事が紙面だけではなく、デジタルメディアのニュースソースにもなり、またソーシャルメディアとの相乗効果で情報が爆発的に拡散していくという事象も多々発生しています。

新聞のメディア力は健在(画像提供:Shutterstock)

もう1つは新聞社の持つプロパティ(資産)です。

最も歴史あるメディアである新聞社には、甲子園や箱根駅伝といった国民的スポーツイベント、美術展などの事業案件、全国に網羅された販売店ルート、行政や企業とのつながり、テレビ局や出版社との強固な関係など、様々なプロパティを有しています。この点は優位性を活かしていけるところだと思います。

新聞社は総合メディア企業へ

現在の環境を踏まえ、新聞社も様々なチャレンジを行っています。

まずデジタル領域では、各新聞社ともに電子新聞の取り組みをさらに強化しています。スマートフォン、タブレットなど様々なデバイスの多様化にも対応したサービスを拡充して、順調に登録会員数を増やしています。また、その登録会員IDを管理・運用するDMPを導入し、新たなビジネス開発も実現しています。そして、このデジタル領域を加速度を増して推進させるために、新聞社の組織も紙とデジタルを統合化する動きもはじまっています。

コンテンツ領域にも注力しています。

新聞社が昔から持つスポーツイベント・展覧会といったコンテンツはもちろんのこと、新聞社のプロパティを活かした行政や公益団体・他メディアといった各種ステークホルダーと協業したコンテンツ開発など、その領域は広がっています。日経新聞のフィナンシャル・タイムズ買収も象徴的な動きかと思われます。

このような新聞社の持つ総合力に、私たちが持つリソースを掛け合わせることで、大きなビジネスチャンスが生まれてくるものと思われます。

私たちは、新聞の「枠」を売るビジネスから、立体的な展開を仕掛けることで「ワクワク」を売るビジネスに転換していければと考えています。

森川 裕康
博報堂DYメディアパートナーズ
新聞局業務開発推進部

 

 

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メディアガイド2016 (博報堂DYメディアパートナーズ)
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博報堂DYメディアパートナーズ
博報堂、大広、読売広告社の経営統合により、それぞれの持つメディア・コンテンツ機能を統合して、これまでに例のない「総合メディア事業会社」として2003年に設立。メディア・コンテンツビジネス領域において、プランニング、プロデュース、バイイング、トラフィック、ナレッジといった機能を駆使して、広告主・媒体社・コンテンツホルダーに対して最適な課題解決力を提供している。

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