文・林智彦(博報堂 インタラクティブデザイン局)
中国のモバイルって、世界でいちばん進んでるんじゃないか?
って感じる機会が増えた。
上海近くの蘇州で暮らす父のiphoneスキルが近年急速にあがっていて、WeChat(LINEのようなアプリ)で孫の写真を送ると即レスが返ってくる。ちょっと前までブラックベリーのちっちゃいのをメール用に持っているだけだったのに。
赴任中の大学の友達は、忙しい時はタクシーの中でWeChatで仕事しながら別のアプリでケータリングの配達を注文しておき、降りるところでピックアップする。
スタートアップ系のニュース記事でも「ユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場企業)」上位の半数近くを占める。
あの地で何かが急速に進んでいる気がした。
「中国には溜息カットはいらない」
広告もとにかく前向きな方が生活者に歓迎されやすいと聞いたことがある。
日の暮れてきた土手でサラリーマンがしょぼーんとする、という日本人のセンチメンタルな共感シーンはNGで、どれだけ輝けるのか?前向きなメッセージやビジュアルが歓迎される。
暗い・ネガティブ・パワーを失うニュースばかりの日本。中国テクノロジーの発展とポジティブさには、なにか前向きになるヒントがあるのかも!?と思った。
そんなことを思っていたところ、最近上海、そして「中国のシリコンバレー」と呼ばれる深センを訪れる機会があったので、そこでのフレッシュな刺激を、レポートとして皆さんにここで共有させて頂きます。
※短い滞在&一見さんなので、違う点や理解の浅い点はぜひご指摘頂けたらうれしいです
ちなみに、深センとは、香港・ベトナムに近い南部の都市。世界のハードウェア製造の中心地で、Appleの生産で有名なフォックスコンなどが工場を構える。開発や設計のレベルも高く、ハードウェアスタートアップの聖地とも呼ばれています。
僕がnuuo時代の自社ロボット、“nubot”の量産に取り組んでいた頃によく耳にしましたが、いまでは、Maker Faire(サンフランシスコ発の一般ユーザーによるハードウェアの出展祭)には、約20万人が参加し、グローバルスタートアップが生まれてくる土地になっています。