日本らしい「未来」の広告主と広告会社のチーム作りを考える

アンバサダーイベントの報酬形態は?

通常、広告会社の今後のビジネスモデルとしてよく議論になるのが、いわゆる広告枠の販売の手数料である「コミッション」か、コンサルティング的な「フィー」かというテーマです。ただ、ネスカフェ アンバサダーにおけるネスレ日本とjekiの間ではこのどちらの選択もせず、あくまで企画の稼働ごとに契約するという形を取っているそうです。

そもそもサンクスパーティーやキャンプのようなリアルイベントに広告枠は必要ありませんので「コミッション」ではないのは当然でしょう。一方で、チームメンバーに対する固定の「フィー」も、津田さんの言葉を借りると人間関係が「お金の関係」になってしまうのが良くない点だそうです。

確かに、コンサルティング会社的なフィー契約ですと、広告会社のメンバーから、ここまで参加者と一緒にキャンプを楽しむといった雰囲気は出てこない気はします。

また、広告会社としての視点からすると、固定のフィーではなく、施策単位の契約の方が、企画に手応えを感じてもらえれば、さらに他の企画を提案することで、ビジネスが拡大する余地があるわけで、稼働時間でフィーを請求するよりもやり甲斐がでやすいという面もあるかもしれません。

日本企業はなかなか海外のように外部の企業の稼働時間に対するコンサルフィーのような支払い方法が難しいという議論もありますから、興味深い視点であると感じます。

当然、この事例は、ネスカフェ アンバサダーがエンゲージメントを非常に重視しているプログラムで、リアルイベントのような人の稼働がともなう、手間のかかる施策が多いからこそのケースで、通常のキャンペーン企画の考え方にはあてはまりにくいかもしれません。

ただ、個人的には、このネスカフェ アンバサダーにおけるネスレ日本とjekiのチーム作りは、日本的な広告主と広告会社の未来のあり方として参考になる点が多々ある事例だと考えています。

当日の議論の様子は動画で公開されているようですので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

アドバタイジングウィーク・アジア[5月30日から6月2日まで]

1 2
徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)
徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ