今年も「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(カンヌライオンズ)2016」がスタートした。
18日に受賞結果が発表されたのは、医療・ヘルスケア領域のコミュニケーションにおけるクリエイティビティを顕彰するアワード「Lions Health(ライオンズヘルス)」。「ヘルス&ウェルネス」「ファーマ」の2部門からなり、ヘルス&ウェルネス部門には2024点(昨年は1430点)、ファーマ部門には583点(昨年は432点)のエントリーがあった。
受賞結果は以下の通り。※カッコ内はエントリー企業名。
グランプリ・フォー・グッド
グランプリ対象とならない、非営利団体や公的機関によるコミュニケーション施策の中から最も優れていたものに贈られる。
MACMA「MANBOOBS」(DAVID/アルゼンチン)
乳がんの早期発見を啓発する非営利団体・MACMAが制作した、乳がんのセルフチェックの方法を紹介する動画。FacebookやInstagramでは、女性が胸を露出している画像やヌード画像を投稿することが制限されているため、動画には男性モデルを起用、女性の手で男性の胸を触診 する内容とした。肥満体型の男性の胸は、英語で「Man Boobs(Boobsは胸を意味するスラング)」と言う。
ヘルス&ウェルネス部門
【グランプリ】
PEARSON(教育支援機関)「PROJECT LITERACY」(FCB INFERNO/英国)
世界中で7億5700万人の人が、ほんの短い文章すら読み書きすることができないという現実がある。これは、本が読めないということだけに留まらず、いくつもの深刻な問題の遠因となっている。貧困や犯罪、病気の蔓延をはじめとする健康問題にもつながり得るのだ。識字率の向上によってこれらの問題を解決しようとするのが、「PROJECT LITERACY(読み書きプロジェクト)」。読み書きができないことで起こりうる数々の問題を、ABCの歌になぞらえて分かりやすく発信している。
【ゴールド】
◼︎倉敷中央病院「研修医実技トライアウト」(博報堂+TBWA\HAKUHODO/日本)
岡山の倉敷中央病院が、採用試験に面接や筆記に加え、実技テストを導入。「5mmの折り鶴を折れ」「バラバラになった虫を治せ」「米粒大の寿司を握れ」という、一見医療に関係のない3つのミッションに研修医候補生たちが挑む。
◼︎PHILIPS「BREATHLESS CHOIR」(OGILVY & MATHER LONDON/英国)※2カテゴリーで受賞 ※ファーマ部門グランプリも受賞
◼︎VALSPAR ENCHROMA「COLOR FOR THE COLORBLIND」(FCB CHICAGO/米国)
ペンキメーカーのVALSPARが、色盲患者が装着すると色が見えるようになる眼鏡「ENCHROMA」とタッグを組み、色盲患者に「色」を贈るキャンペーン。動画では、患者が抱える不安や困った経験などを紹介するとともに、初めて色が見えたときの感動を写し出している。
◼︎フォンテラ(乳業会社)アンカー「X-RAY CASTS」(COLENSO BBDO/ニュージーランド)
◼︎MACMA「MANBOOBS」(DAVID/アルゼンチン)※2カテゴリーで受賞 ※グランプリ・フォー・グッドも受賞
◼︎UNITEDHEALTHCARE「WAYS IN CAMPAIGN」(LEO BURNETT CHICAGO/米国)
◼︎NHS BLOOD AND TRANSPLANT「MISSING TYPE」(ENGINE/英国)
ファーマ部門
【グランプリ】
PHILIPS「BREATHLESS CHOIR」(OGILVY & MATHER LONDON/英国)
嚢胞性線維症や肺活量の低下、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など、重い呼吸器疾患に苦しむ18人が合唱団を結成、コーラスに挑戦する。動画は、ニューヨークのアポロシアターで最終公演が開催されるまでの1週間を描き出している。COPDを抱える患者数が今後増加していくと予想される中、人工呼吸器や監視装置など、患者のニーズに合わせて病状を管理できるフィリップスのソリューションを訴求した。
【ゴールド】
◼︎アスターDMヘルスケア(病院経営)「THE NAZAR INITIATIVE」(THE CLASSIC PARTNERSHIP ADVERTISING/ドバイ)
ドバイの建設会社が雇用している南アジアの労働者の多くは、十分な教育を受けていない上、自身の健康のために時間やお金を使うことができない 。アスターDMヘルスケアは、彼らに眼のケアの重要性を伝えるため、ピクトグラムでできた視力検査表を作成した。
◼︎INDIAN ASSOCIATION OF PALLIATIVE CARE (IAPC:インド苦痛緩和ケア協会)「LAST WORDS」(MEDULLA COMMUNICATIONS/インド)※2カテゴリーで受賞
インド苦痛緩和ケア協会
インドにおける、緩和ケア・終末医療の認知向上を目的としたプロジェクト。動画に登場するのは、患者の最期の言葉を、患者の家族よりも多く聞いている、インド中の看護師たち。彼らがこれまでに聞いてきた最期の言葉を振り返ることで、「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)と同様、クオリティ・オブ・デス、つまり終末期の人生の質の向上も重要なのでは」 と、終末医療の重要性を訴求する。
◼︎TEVA NEUROSCIENCE「PARKINSOUNDS」(HAVAS LIFE/ブラジル)
◼︎PFIZER CORPORATION HONGKONG「GAMEBOY」(McCANN HEALTH/香港)
◼︎PFIZER CORPORATION HONGKONG「STUDENT」(McCANN HEALTH/香港)
◼︎PFIZER CORPORATION HONGKONG「PAINTER」(McCANN HEALTH/香港)
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