本を読むことの「意味」とは
—最近は若者を中心に、“本離れ”が言われて久しいですね。
草彅:最近の人は、本を読む時間がないですもんね。スマホを見るので忙しいじゃないですか。それにSNSでつながっちゃっているから、みんな本質的に孤独じゃないんですよね。
牛久保:昔は孤独な人ほど本を読んでいたけど、いまは本よりもネットを見てしまうしね。ネットによって本に関する情報は増えたけど、実際に本を読む時間はなくなっているよね。
本山:そもそも、本を読むとどうなるかが描かれていないんだよ。もしかしたら若い人にとっては、本を読むことが人生にとってどうプラスなのかが、わからないのかもしれない。
牛久保:極端かもしれないけど、周りの面白い人って、だいたい本をたくさん読んできているんだよね。本を読むことの大切さは、当たり前すぎて誰も言わないんだろうけど、本を読まないと、つまらない人間になるということは、声を大にして言いたい。
草彅:それはある!
本山:大学のときにひたすら哲学の本を読んでいて、何の役にも立たないと思っていたけど、哲学は概念をつくることなんだよね。その概念をひねくり回すのは、いまの仕事で、クリエイターとして制作物のコンセプトをつくることと同じなのかもしれないと思ったんだよね。
牛久保:僕の場合は、これまで本をクリティカルに読んできたことが、物事を考える上でのすごく良いトレーニングになった。抽象度が高い言葉っていうものをひたすら読むのは、思考力のトレーニングとして最高なんだよ。とくに本は言葉の密度が高いからね。
草彅:最近、色々なゲームアプリが流行っていますけど、それをやることによって多くの人が馬鹿になっていると思うんですよ。ちょっとした隙間時間に、これまで本を開いていたのが、いまはゲームアプリを立ち上げるじゃないですか。僕らが子どもの頃に夢中になっていたファミコンは、なんとなくカルチャーだったけど、最近のゲームは何の文学性もないですし。
本山:ソーシャルゲームに文学性はないけど(笑)、「The Last of Us」(サバイバルホラー アクションアドベンチャーゲーム)とかは文学的だよね。