インバウンドと越境ECで日本企業が成功する条件とは?中国バイドゥ・セミナー報告

「越境ECの可能性を考える」

電通:三橋 良平 氏

第二部では、今注目されている越境ECをテーマに取り上げた。オープニングは、電通の三橋氏が、中国で越境ECを展開する際の留意点や取り巻く環境について紹介。まず、日本企業の越境ECの課題として、圧倒的な情報不足を挙げる。

「マーケットの競合動向が見えてないケースもあるが、消費者のことを理解していないことも多い。日本ではマーケットリサーチを行うが、なぜか中国進出の場合はこの商品を売りたいという思いが先行し、戦略が組まれていない」。

そうした中で、日本での成功体験をそのまま中国に持って行く企業が多く、中国についてもっと知る必要があると指摘する。「現地で自分の目と耳で、体感することが重要。さらに、中国ビジネスを展開する上では、現地で意思決定できる組織体制を整備し、中国で一旗上げるという熱意も必須」と話した。

オプトホールディング:吉田 康祐 氏

続いて、Bolome水野氏、アンファーの佐塚氏、バイドゥ高橋氏を加えたパネルディスカッションへ。オプトホールディングの吉田氏がモデレーターを勤め、越境ECに取り組む各社の生の声を聞いた。

“日本に来なくてもアプリで爆買いできる”のコンセプトで2015年に越境EC事業「Bolome」をスタートした水野氏はサービスの特徴として、スマホを使った“ライブ中継”と“店頭価格”を挙げた。

Bolome:水野 裕哉 氏

「スタートアップ企業はユーザーからの信用が重要。一般的なECは人の顔が見えないが、Bolomeのライブ中継はテレビショッピングとして毎日配信している。加えてメーカーの方にも出演してもらっているので人の顔が見える。また、日本にいるチームが実際に店頭に行って値札を撮影しているため店頭価格を伝えることができる。この2つの特徴はユーザーからの信用、弊社の成長につながっている」と話した。実際、Bolomeは起業からわずか9ヶ月後の2015年12月には5000万元(取材当時の為替レートで8.5億円)の売上を達成している。

アンファー:佐塚 皓治 氏

アンファーは2015年春から越境EC事業を展開。中国では主に「まつ毛・まゆ毛美容液」といった女性向け商品を販売している。日本で主軸の男性向けシャンプーではない理由について、佐塚氏は「日本ではヘアケア製品を中心に販売しているが、越境ECでは女性向け商品の動きが良い」ことを挙げた。

また、「中国の大きなマーケットは非常に魅力的。その中国で化粧品を販売する際には薬事申請が必要で、許可を得るまでに1年以上かかることがよくある。一方で、越境ECでは薬事申請が必要なかった。
(※法改正により越境ECでも保税区利用は薬事申請が義務づけられる方向)
越境ECは中国のマーケットを知るためのテストマーケティングとして取り組みやすい」と中国で越境ECを展開する理由を話した。

さらにインバウンドと越境ECの関係性について、「表裏一体と言える。インターネットで売れているものがリアルでも売れるように、インバウンドで売れているものは越境ECでも売れる。両方取り組むべき」と話した。Bolomeの水野氏も「どの商品を販売するか選ぶ際に、インバウンドで売れているものも参考にしている」という。

中国で越境ECに取り組む際、どんな企業や商品にチャンスがあるのか。水野氏は「どれだけ上流から仕入れができるか、どれだけ現地でMDできるか、指定外リストに入っていない商品でも売れる仕組みをつくるのが大切。日本で売れていて、中国でまだ火がついていない商品もあるので、それを見つける努力が必要」とアドバイスをする。それに対して、アンファーの佐塚氏も、「日本と同じように、他社商品にない特徴を持った商品が絶対に必要」と話した。

電通の三橋氏は、現地でのプロモーションについて「広告出稿のニーズがあった際に電通では、中国人観光客のお買い物リストにどう入るか、検索や口コミ、使用感を書き込むサイトの重要性を説明するようにしている。また、中国はすでにグローバル化されているので、各国の商品が競合になるという意識を持つことも必要」と話した。

最後に、バイドゥ(百度)の高橋氏が「中国人観光客の消費が宝飾品から日用品へと移り変わっているように、トレンドをいかに捉えていくかが重要。中国人は海外でものを買おうという発想で色々なものを選びながら日本の商品に辿り着いている。どうやって自分たちの商品に落としこんでいくかプロセスの作り込みがないとチャンスは生まれない。そのためには、様々なデータの活用が必要になる」と締めくくった。



問い合わせ
バイドゥ株式会社

http://www.baidu.jp/info/business/

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