アンバサダーとの企画会議から番組が誕生(スカパー!映画部)

映画に関する情報発信を習慣化させる

植田:アンバサダーの方に情報を発信してもらうために2つのことを実施しています。1つ目は毎月2回、Twitterでの投稿を促す企画です。2つ目は約2カ月に1度、イベントを開催しています。その両方を通じて特に意識しているのは、広告宣伝が届かない層を拾っていくという感覚です。

藤崎:それぞれの内容について教えてください。

植田:まずTwitterでの投稿企画です。これは会員の方へのメールマガジンで「あなたがお勧めする映画は何ですか?」というお題を出して、ご自身のTwitterで回答をツイートしてもらうものです。例えば、5月はカンヌ映画祭の時期なので、「お勧めするカンヌ受賞作」をツイートしてもらいました。他には、例えば番組内にクリント・イーストウッド監督特集がある時は「あなたがお勧めのイーストウッド作品は何ですか?」といった具合です。これは「#スカパー!映画部」というハッシュタグを付けてもらうことで、収集が可能です。

藤崎:広告が届かない方に、さりげない情報伝達を目指しているのでしょうか。

植田:ツイートに関してはその通りです。ただ、それ以上にアンバサダーの方が映画を見た時に、感想をツイートしてくれる行為を習慣化して欲しいというのが狙いです。そして、その時に“スカパー!が介在していたい”ということです。

藤崎:それは素晴らしいですね。映画ファンは自分の好きな映画を聞かれるのが大好きです。好きなサスペンス映画は?などと聞かれると、つい反応したくなります。

植田:映画が好きな人たちにとっては、自身の好きな映画の再確認になりますし、「お題」に対して「答える」という関係を通じて、私たちとのエンゲージメントが高まればいいなと思っています。毎回、熱心に投稿してくださる方もいて、大変ありがたい話です。

施策の2つ目であるイベントは、その時々で内容が変わります。前回は上映会でしたが、こうした上映会は新作・旧作問わず行っており、上映後は歓談の場を設けて感想をブログ等で掲載してもらっています。

藤崎:以前、イベントの一環としてアンバサダーの皆さんを東京国際映画祭にレポーターとしてお招きしたことがありましたよね。ファンにとっては、貴重な思い出になったのではないでしょうか。

植田:毎回、コアな体験を提供できるように心がけています。

藤崎:他には何かありますか?

植田:2014年と2015年の12月に2年連続で、視聴者目線での映画紹介として「MY BEST MOVIE」という企画を行いました。これは「スカパー!映画部」のアンケートをもとに決まった10作品を放送していく特集です。アンバサダーの声で作品を選んだので、視聴者が主役の有意義な展開ができたと思っています。もちろん好きな作品の理由なども紹介させて頂きました。

藤崎:それは素晴らしいですね。感想を取り上げてもらったアンバサダーも、映画好きの冥利に尽きるのではないでしょうか。

植田:「MY BEST MOVIE」は社内的にも評価が高かったのではないかと思います。お客さんの声をもとに特集編成を決めるのは、今までにない取り組みでした。こういう企画をずっとやりたいと思っていました。

藤崎:ぜひとも毎年続けてください。

植田:他の事例としては、昨年2015年8月に弊社のオフィスで「スカパー!映画部」の企画会議を行いました。これはアンバサダーの方々にも参加してもらい、スカパー!が世の中に発信していく活動のアイデアを募る会議でした。当日は、4つのグループに分かれ、どんな映画の特集を組んだらいいかの「編成企画」、どんなイベントをやったらいいかの「イベント企画」、他には「広告宣伝企画」と「子供向けの企画」のそれぞれについて、グループ会議を行ってもらいました。

藤崎:スカパー!さんの会議室というのが、リアリティがありますね。

植田:当日は、私たちでは思いつかないアイデアがたくさん出て、大変勉強になりました。

藤崎:具体的には、どんなアイデアが出たんですか?

植田:最近は「映画の語り部」がいないから、個性豊かな解説者をきちんと立てたらどうかとか。

藤崎:なるほど。確かに昔の映画番組のように解説者がいると楽しいでしょうね。今後そこにアンバサダーの方が参加できると、おもしろいかもしれませんね。

次ページ 「アンバサダーの声を反映させて番組枠を編成」へ続く

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藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

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