●アンバサダーの声を反映させて番組枠を編成
植田:実はスカパー!では、映画館で上映されなかった映画や、限定公開されたままお蔵入りになった映画も放送しています。そういったマニアックなところに「スカパー!映画ジャンル」の特徴がありますが、一般受けする話ではないので大々的には宣伝していません。
ただ、そういった活動を知っているアンバサダーから、「そこが特徴なのだから、もっとアピールした方がいい」という話がありました。つまり、スカパー!を見る人にはマニアックな人も多いから、その視点をもっと掘り下げていくと特徴が出るのではないかと。こうした指摘は、私たちとしても嬉しいわけです。
藤崎:ファンはちゃんと見ていてくれているのですね。
植田:実は、昨年もらった意見の反映として、今年の7月から掘り出しものの「名画」に着目した「スカパー!木曜座」という放送枠を毎週木曜日にチャンネル横断企画として始めることになりました。
藤崎:アンバサダーの声が実際の番組編成の参考になったというわけですね。素晴らしいですね。
植田:他社との差別化を考えていた時に、アンバサダーの声をもらい、うちの強みを改めて再確認することができました。
藤崎:確かに放送される映画の本数なども大事ですが、それ以上に映画好きの話を取り入れて、ファンと一緒に編成づくりを深めていくという姿勢そのものが、映画ファンの気持ちに刺さるのではないでしょうか。「スカパー!=映画」という公式は、すでに根付いている気がします。
今回のポイント
- 情報発信のNext Stageへ
- さらに厚いクチコミを目指して
- Twitterの情報発信はファンの習慣化が狙い
- ファンとの交流の場をつくる
- 2年連続でアンバサダーが選ぶ映画を特集
- アンバサダーの声を反映させて番組枠を編成
今回のまとめ
スカパー!は2010年に「映画部」という旗印を掲げて情報発信を始めます。これは番組の提供会社らしく当初は番組としてでしたが、2014年にユーザーとのコミュニケーションに舵を切ります。この流れがまさに、今のマーケティングのあり方を象徴している気がします。つまり「スカパー!=映画」の公式を強めるためには、自社からの情報発信ではなく、ユーザーを巻き込んで一緒に情報を作っていくことが大切だというわけです。定期的なイベントやTwitterでの投稿企画は映画ファンにとっては楽しみです。そのうえアンケートをもとにした番組づくりや、企画会議をきっかけにしての番組枠の誕生など、一緒に情報を作るだけでなく、番組制作にまでファンの声が反映されていくとなると、映画ファンにとってスカパー!の存在はもはや単なる番組以上のものではないでしょうか。
明日は後編をお届けします。