Snapchatにはどんな「快楽」があるのか、若者がハマる理由

Snapchatの「快楽」について考える

本コラムの第1回では、マーケターの皆さまが注目しているSNSの新星「Snapchat(スナップチャット)」について考えたいと思います。

FacebookやInstagramよりも早いスピードでユーザー数を確保し、成長を続けているSnapchatは、ついにInstagramの利用時間を超えたと報道されました。

Snapchatを知らない方もまだいらっしゃるかと思いますが、基本的には、SNS、連絡ツール、加工アプリの3つの機能を持つサービスです。大きな特徴の1つとして、コンテンツが「消える」ことが挙げられます。

SNSの役割を果たす「マイストーリー」では、投稿されたコンテンツは24時間で消滅し、友人同士での連絡機能では、最大10秒で消滅します。「消える」という安心感と気軽さが若者を中心に人気となり、ここまでのユーザー数を増やしてきたのだと言われています。

どうして若者がSnapchatにハマるのか、どういう快楽があるのか、私のインターン生(18~21歳まで)の女の子たち5人ほどにリサーチしたり、自身の実体験をもとに考えると、以下の4点が浮き上がってきました。

1.コンテンツが消える

先述している通り、コンテンツが消えるということは若者にとって1番のメリットのようです。消えてしまうからこそ、気軽にメールができる、ふざけた写真も送れるというように、何のしがらみもなく送信できてしまうこと、またそれが残らないことが魅力的だと言います。

2.SNSとして“空いている”

「SNS疲れ」という言葉もあるように、他のSNSに飽きた、疲れたという若者が併用してSnapchatを使っている印象があります。また、Instagramの過剰なリア充アピールに疲れたという反動で、移行している若者も多いです。

ある10代女子から「Instagramに投稿するほどではないけれど、誰かに日常を晒したい」と聞いたことがあります。その言葉がまさに、Snapchatにハマる理由を象徴しているのではないかと感じます。つまり、フォトジェニックな写真の多いInstagramに写真を投稿するのは、徐々にハードルが高くなってきている。同時に、Snapchatが自分の周りでは活発化していないので、何のルールもなく自由に楽しめる場であるということを指している言葉ではないでしょうか。

本来、TwitterもInstagramも流行りはじめた当初はそういう場であったと思います。それがいつしか、人が集まり、暗黙のルールができ、楽しみづらくなる・・・多くの場合、SNSではそうしたサイクルが生まれてしまいます。TwitterやInstagramに対して気づかぬストレスが生まれているため、まだ“空いている(開拓されていない)”状態のSnapchatに移ってきているのではないでしょうか。

3.ストレス解消になる

Snapchatといえば、犬のエフェクトや、口から虹が出るエフェクトが人気です。加工アプリとしてダウンロードする若い子も多いほどです。

このエフェクトは毎日入れ替わるので、毎日新しいエフェクトを楽しみ、マイストーリーに投稿したり、友人に送信するという使われ方をしています。

先日仕事で帰りが遅くなり、疲れきっていたときに、自然とSnapchatを開いて、ふざけたエフェクトでセルフィーをし、マイストーリーに投稿している自分に気がついたとき、Snapchatがストレス発散になっていることに気が付きました。1や2に挙げたように、消えるということと、SNSとして空席である状況だからこそ、ふざけられる環境があることが大きいと思います。

4.セレブや有名人のリアルな部分をのぞき見できる

海外発のSNSの流行は、主にセレブが利用している様子を、日本の海外志向であるインフルエンサーが見つけて持ち込む、それを見た一般人ユーザーにも浸透していくという流れが大きくあります。海外や国内の有名人たちがSnapchatを楽しんで使っているため、彼ら彼女らをフォローし、投稿する内容を見ることができるのがメリットとしてあります。

Snapchatはその場で撮ったものしか投稿できないため、リアルタイムの情報を閲覧することが可能です。消えるがゆえに、セレブや著名人も、よりプライベートな瞬間を投稿しているので、他のSNSでは見られない、リアルライフをのぞき見することができます。モデルの長谷川潤さんも、他のSNSでは子どもを積極的に投稿しないですが、Snapchatでは子守唄を歌ったり、一緒に遊ぶ様子を投稿しており、見ていてほっこりします。

「だれかの、よりリアルな日常をのぞき見できる」ことは、Snapchatならではです。

また、米国を中心にSNSでも人気を誇るモデルのカイリー・ジェンナーは、Snapchatでジオフィルター(いるエリアやスポットが記載されたフィルター)をつけた動画をアップすることから、今どこにいるのかがわかるため、ユーザーは頻繁に彼女の投稿をチェックしています。

▼米国のファッションモデルでタレントのカイリー・ジェンナーさんSnapchat

投稿頻度も多く、Instagramでは1日に5投稿ほどしますが(こちらも他の有名人と比較して多いですが)、Snapchatでは1日に30ほど投稿をします。

次ページ 「若者はSNSに疲れている・・・?」へ続く

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石井 リナ(BLAST Inc. CEO/SNSコンサルタント)
石井 リナ(BLAST Inc. CEO/SNSコンサルタント)

BLAST Inc. CEO/SNSコンサルタント
平成2年生まれ。新卒でオプトへ入社し、Web広告のコンサルタントを経て、SNSコンサルタントとして企業のマーケティング支援に従事。初のInstagramマーケティング書籍となる「できる100の新法則Instagramマーケティング」を共同執筆するなど、デジタルプロモーションを中心にセミナー講師としても活動を広げている。その後、リアルイベントにおけるSNSプロモションを行うSnSnap(エスエヌスナップ)にて、自身が編集長を務めるオウンドメディア「COMPASS(コンパス)」を立ち上げ、運営を行った。現在は起業し、女性向けエンパワーメント動画メディア「BLAST」の立ち上げ、運営を行う。学生時代より雑誌「ELLE girl」のラボプロジェクトにてリアルイベントの企画や運営に携わるなど、若年層マーケティングを得意とする。

石井 リナ(BLAST Inc. CEO/SNSコンサルタント)

BLAST Inc. CEO/SNSコンサルタント
平成2年生まれ。新卒でオプトへ入社し、Web広告のコンサルタントを経て、SNSコンサルタントとして企業のマーケティング支援に従事。初のInstagramマーケティング書籍となる「できる100の新法則Instagramマーケティング」を共同執筆するなど、デジタルプロモーションを中心にセミナー講師としても活動を広げている。その後、リアルイベントにおけるSNSプロモションを行うSnSnap(エスエヌスナップ)にて、自身が編集長を務めるオウンドメディア「COMPASS(コンパス)」を立ち上げ、運営を行った。現在は起業し、女性向けエンパワーメント動画メディア「BLAST」の立ち上げ、運営を行う。学生時代より雑誌「ELLE girl」のラボプロジェクトにてリアルイベントの企画や運営に携わるなど、若年層マーケティングを得意とする。

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