そこまでやるか!勇気あるカンヌ受賞作まとめ!−電通PR 根本陽平カンヌレポート3

ビジネスモデルまでにコミットする動きの加速

続いて、アドタイで連載中の『カンヌに来ている外国人に話しかけてみた!』を寄稿している電通・未来創造グループ、コミュニケーションデザイナーの田中真輝さんに聞いた「そこまでやるか!」受賞作です。

作品などには敢えてふれずに斬新な切り口でレポートをしていたのがとても興味深かったので、こちらでは、作品のことを聞いてみました。(笑)

BREWTROLEUM

こちらも複数受賞しているビールブランドの「DB EXPORT」。ビールを製造する際に発生する副産物でバイオ燃料を製造。これをガソリンスタンドで実際に販売までしちゃうエコシステムをつくりあげたというもの。

田中さん曰く、『「やりすぎだろ!」と思ったのは、エージェンシーの提案がどこからなのかわからないぐらいビジネスにコミットしていること。他の受賞作もそうですが、経営とクリエイティブが、がっつり組んで”for good”なビジネスモデルに落とし込んでいる事例が多かったように思います。クリエイティブの領域がどんどん経営に食い込んでいってる。そういう意味では「そこまでやるか!」というより、これからはビジネス全体と向き合うクリエイティブが「そこまでやってふつう」になっていくのかもしれないと思った事例でした。』

また、『あと、ケースビデオもやりすぎ!ふつうの男がビールを飲みに家を出るときに「世界を救いに行ってくる」と妻に見栄を切るストーリーが秀逸でした。それによって、「地球にいいこと」みたいな、大きいけれどなんとなく他人ゴト感が漂うイシューが、一気に自分ゴト化される。チャーミングなストーリーテリングが効いていると思いました。』ということで、内容のみならずビデオの作り方についてもコメントいただきました。

私からもいくつか簡単に挙げます。

企業に限らず、国や自治体、メディアなど様々な立場の組織が、それぞれで「そこまでやるか!」を実現しているので、主体別に紹介します。(スペース上作品解説は割愛します。)

企業だけでなく、国や自治体、メディアでも「そこまでやるか!」

(国・自治体)
The Swedish Number

早速かけてみた人がまわりにいるのですが、昨日登録したばかりの元船乗りの57歳の女性の方がでて、今スウェーデンは白夜で夜中でも明るいこと、日本にも船で来たことがあることなど、20分近く話をしたようです。

首相も参加表明して、本当に首相が電話にでるかもしれないということで、国民性をとらえてここまでやってしまう勇敢且つ大胆な取り組み。そんなエクスペリエンスな体験をすると本当にスウェーデンに行きたくなりますよね。

(メディア)
今年はAI系やVR系の作品がたくさんエントリーされていましたが、その中で一番気になったVRを活用した取り組みです。

The Displaced

*エントリービデオではありません。

NYタイムズ紙がVRを活用した取り組みを本格化させる一環で第一弾のコンテンツとして配信されたもので紛争地帯に生きる子どもたちの生活を追ったドキュメンタリー映像です。

メディアには「枠」や「尺」がつきもので、膨大な事実情報を編集して世に出されるわけですが、360°という「枠」のない世界を活用することで事実をより最大限、「体験」を通じて伝えられるという点が業界にとっても一歩踏み出した覚悟のようなものが伝わってきます。

以上、勇敢且つ大胆な受賞作の紹介でした。

今年のカンヌライオンズも終了し、今後「今年の傾向」や「キーワード」、「アワードを獲得するための視点」などが様々な角度で語られると思いますが、私からは、純粋に「その手があったか!」というパワフルなアイデアと「そこまでやるか!」という主体者の勇気から得るものが大きいと思ったのでそれをテーマに紹介させていただきました。

最近の日本の風潮として、粗を発見してはつついていっきにネガティブな世論が形成させていくことが多いのではないでしょうか。世界ではもっと懐深く誠実で勇気あるものを賞賛する空気があると感じました。もっといいところをのばすことに力を注ぐべきなのでは?と考えさせられました。

最後に、カンヌライオンズの力に魅了された今だからこそ、日々のクライアントさんの目の前にある課題に真摯に、必死に向き合うことの重要さを感じました。さて、本日から通常業務に戻ります。日々精進。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました!

【プロフィール】

PRプランナー 根本陽平
株式会社電通パブリックリレーションズ (電通 PRプランニングセンター所属)

2008年、電通PR入社。現在は、電通のPR専門セクションに所属。グループ横断・動画専門チーム「鬼ムービー」にも参画。徹底したPR視点からのプロモーションプランニングを手掛ける。PRをテーマに企業や成蹊大学や立教大学、CNET Japan Live等で講義。主なメディア掲載に、朝日新聞「ひと」など。
Global SABRE Awards(「世界のPRプロジェクト50選」)、WOMMY AWARD、PRWeek Awards Asia、日本PRアワードグランプリなど受賞多数。

 


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