ネット上の「批判」「誹謗中傷」に、メディアや書き手はどう向き合えばいい?

ネットニュースにコメント欄は不要?

中川淳一郎(編集者/PRプランナー)
一橋大学商学部卒業後、博報堂で企業のPR業務を請け負う。2001年に退社。PR活動、ライター、雑誌編集などを経てニュースサイト編集者となる。現在は編集・執筆の他、情報発信に関するコンサルティング、プランニングを行う。

中川:メディア企業は、電話番号の掲載を止めて、すべてメール対応にしてみては?

浜田:難しいのは、メディアにとって電話が情報提供の大事なラインということです。高齢者からの情報提供は、今でもメールではなく電話です。しかも、その1本の電話が特ダネかもしれない。

『AERA』は私が編集長時代からYahoo!ニュースと一緒に貧困や結婚といったテーマで、オリジナルコンテンツをつくっています。その時に、サイトの下部にメールアドレスを用意しておいたら、100から200ほどの切実な感想や自分の体験を書いたメールが届き、さらに深い次の取材につながったということがありました。

本当に訴えたいことがある人はオープンな場ではなく、電話やメールで連絡してくれます。オープンなコメント欄が必要なのか、ということですよね?

中川:俺は、コメント欄はいらないと思いますよ。ブログにコメント欄付けているやつは、どうかしていると思っている。

徳力:炎上したときに炎上したという証拠をつくるだけですからね。なければ炎上してもわからない。

中川:自分のブログはコメント欄をつけていません。運営しているニュースサイトも複雑な構造にしていて、何か一つ記入欄が欠けても「不備があります」と出てくるようにあえてしています。

一同:

浜田:意見はいらない?

中川:いらないですよ。

徳力:ツイッターで見ればいいですよね。

中川:過去に調べたところ、コメント欄に記載された電話番号やメールアドレスの90%以上がデタラメでした。批判者が「本気じゃない」ということは、その情報はいらないということです。

徳力:確かに、中川さんの言うとおり、本気かどうかを判別する仕組みは必要ですよね。私はサイレント・マジョリティがポジティブに受けとめているかの方が重要だと思っています。ここを見誤ると、せっかくいい記事を書いたのに、数件の批判でダメだったのかなと思ってしまう。

浜田:たしかに、こちら側の価値判断も影響されてしまいますよね。

後編はこちら

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