「映画愛・映画熱」を重視していく
藤崎:今後の課題については、どうお考えですか。
植田:私はアンバサダープログラムの運営は「モノ」を売る企業と「サービス」を売る企業では、大きく違うと思っています。例えば、デジカメなど性能に際立った特徴があり、ユーザーが確実にいる商品はわかりやすく、ファンも付きやすいと思います。一方で、弊社のような「サービス」を売る会社は、難しい面もあります。まだまだ、手探りですが、一歩ずつ映画ファンとのさりげない関係を築いていきたいと思っています。
また、私はアンバサダーの「熱量」を高めることが成功のポイントだと思っていますが、まだ十分に発火点まで高めることができていないことが課題ですね。
藤崎:具体的にはどういうことでしょうか。
植田:アンバサダーの持っている「映画熱」「映画愛」をもっと発揮させられる方法を探しているということです。イベントでは毎回、ものすごい熱量のある方が参加しますが、彼らが持っている作品への愛情を、きっちり受け止めて一緒に何かができるのではないか、ということです。まだ具体的には見えていませんが、何か方法はあると思っています。
藤崎:映画好きは多いですからね。私も映画が好きで、この業界に入ってきた一人です。
植田:アンバサダーの皆さんにセミプロのような立ち位置に立ってもらうことで、今までにない取り組みができるのではないかと期待しています。例えば、映画部の方の映画の見方が等身大だからこそ、他の方からも共感しやすいということがあるかもしれません。
藤崎:確かにアンバサダープログラムのいいところは、サービスのスペック的な優位点を伝える広告的なアプローチではなく、いかにスカパー!が映画ファンを大切にしているのかという「映画熱・映画愛」を媒介にしたファンへのアプローチにあると思います。
植田:質を上げていくのが目標です。そして「スカパー!映画部」を通じて、映画ファンの心に届くコミュニケーションをしていきたいと思っています。
藤崎:今日は貴重なお話ありがとうございました。
今回のポイント
- ファンと一緒にスカパー!を盛り上げたい
- 見えない導線を増やす。クチコミもそのひとつ
- クチコミのための「継続性」と「タイムリー性」
- 「映画愛・映画熱」を重視していく
今回のまとめ
「見えない導線」というキーワードが印象的でした。従来の「広告」のように自己主張を積極的に行うのではなく、さりげないコミュニケーションをたくさん行うという姿勢です。例えばラジオ番組内でも放送日の告知は行わず、気になった人が検索するとホームページに放送日がある、という仕組みです。この導線をたくさん配置することで「スカパー!=映画」というブランディングは強固になっていくと思いました。
映画ファンの「映画熱・映画愛」は、無償かつ無限です。従って、アンバサダーの熱量が活用できる可能性はまだまだたくさんあると思います。しかもそこにはユーザーと企業のWin-Winのよい関係が広がっているはずです。「スカパー!映画部」の取り組みに今後も注目していきたいと思いました。