#非進化論3:守備を極めたら、プロで一軍になれた(プロ野球・岡田幸文選手)

今回の仕事人
今回たずねた仕事人は…千葉ロッテマリーンズ:岡田幸文選手

千葉ロッテファンの間で囁かれる「残岡(ざんおか)」という言葉があります。「残念!そこは岡田だ!」の略。相手バッターがヒット性の打球を放つ。スタンドから歓声と悲鳴が上がる。しかし次の瞬間、細身の外野手が落下点に走り込み、難なくアウトにしてしまう。
相手にとっては厄病神。味方にとっては救世主。岡田選手は、外野守備のスペシャリスト。驚異的な守備能力で、幾多ものピンチを救ってきました。
大学時代に大怪我を負い、一度野球を離れながらも、社会人チームで野球を続け、育成選手から一軍選手へと這い上がった「努力の人」。その生き方に共感するファンは多く、チームでも絶大な人気を誇っています。
ベテランの域に達してもなお、ストイックに技術を極め続ける岡田選手に、ひとつの技を磨き続けることの意義について、話を伺うことにしました。

誰にも負けない技術を極めて、一軍で生き残る

渡辺:僕は隣の船橋市出身で、ロッテが千葉に移転してきてからずっとファンなんです。高校が球場から近かったこともあり、たびたび試合を見に来たり、大学生の時はチケットのもぎりのバイトもしていたんです。

最近はとくに岡田さんの守備が大好きで、仕事が立て込んで辛くなると、YouTubeで岡田さんの守備の好プレー集を見て気持ちを高めているんです(笑)。

岡田:ありがとうございます。

渡辺:岡田さんと言えば超絶な守備が有名ですが、ご自分のプレースタイルが確立されたのはいつですか?

岡田:プロになる前ですね。長く現役を続けるために何が必要かを考えた時、自分の武器は打撃じゃないとずっと感じていました。

プロに入って二軍でやらせてもらっていた時に、コーチから「おまえの打撃には誰も期待してない。でも、足と守備は誰にも負けないものがあるんだから、それを極めれば一軍で食っていけるぞ」と言われ、守備だけは絶対に負けないようにしようと心に決めたんです。

打つ、守る、走る。すべてにおいて優れていれば、おのずとチームのレギュラーにはなれるんです。でも、プロの世界はそれだけではないと思いますし、誰にも負けないものを一つか二つ持っていないと生きていけません。もっともっと、自分の武器を極めないといけないですね。

渡辺:「極める」とは、具体的に言うとどういうことですか?

岡田:人一倍練習することじゃないですか。今でも守備では誰にも負けたくないと思いますし、そのためにも練習は欠かせません。

渡辺:とは言え、どの選手も守備の練習をしているし、守備が得意な選手は他の球団にもたくさんいますよね?けれど、岡田選手の動きだけは他の選手とは違うなと、見ていていつも思うんです。

ご自分のプレースタイルは、どのように確立したんですか?練習の中で試行錯誤を重ねながら積み上げてこられたのでしょうか?

岡田:いろんな練習を取り入れてみて、どの方法が自分に合っているのかを必死で考えましたね。実際に、試合に活かすための練習です。例えば、他の選手の打撃練習中に、バッターがどのコースの球をどこに打って、どこに落下するのかを予測しながら、ムダなくそこへ走ることを繰り返す。それを繰り返すことで、追いつけない打球も追いつける可能性は出てくるわけですよね。

あとは、さまざまなコーチの方に指導してきてもらったので、そこでいろんな話をして、自分なりのスタイルを模索しながらやってきました。

渡辺:わりと早い段階で、守備という武器があればプロとして戦っていけると確信は持っていたんですか?

岡田:正直、もっとやらないと無理だなって思いましたよ。初めて1軍の試合に出させてもらった時は、もっともっと練習しないと自分が苦労するなって思いました。

次ページ 「自信をつけるには、練習しかない」へ続く

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渡辺 潤平(コピーライター/渡辺潤平社代表)
渡辺 潤平(コピーライター/渡辺潤平社代表)

渡辺潤平(わたなべ・じゅんぺい)
コピーライター。渡辺潤平社代表。1977年生まれ。千葉県船橋市出身。早稲田大学教育学部卒業。2000年博報堂入社(第2MD局、第3制作局、第2CRセンター第5制作室)、2006年博報堂退社、同年6月よりground LLCへ参加。 同年12月よりフリーランスとして活動開始。2007年に渡辺潤平社を設立。

渡辺 潤平(コピーライター/渡辺潤平社代表)

渡辺潤平(わたなべ・じゅんぺい)
コピーライター。渡辺潤平社代表。1977年生まれ。千葉県船橋市出身。早稲田大学教育学部卒業。2000年博報堂入社(第2MD局、第3制作局、第2CRセンター第5制作室)、2006年博報堂退社、同年6月よりground LLCへ参加。 同年12月よりフリーランスとして活動開始。2007年に渡辺潤平社を設立。

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