#非進化論3:守備を極めたら、プロで一軍になれた(プロ野球・岡田幸文選手)

自信をつけるには、練習しかない

渡辺:岡田さんの守備は、「職人芸」と称されますよね。

岡田:自分では、職人芸だなんて感じたことはないですね。

渡辺:どうしてですか?

岡田:職人だなんて思ってないからですよ。評価は他人がすることであって、僕自身は評価できないです。

ただ自分ができることを精一杯やる。守備についたら打球を追うのももちろんですし、ボールを返すのもそうです。アウトになる確率があるんだったら、それを一生懸命やるだけです。

渡辺:自分にボールが飛んできた時って、どんな気持ちになるんですか?

岡田:「よっしゃ、来た!」って思いますね。

渡辺:それは、バッターが打った瞬間に、自分のところにボールが飛んでくるのが分かるということですか?

岡田:準備していれば分かりますよ。

渡辺:「よっしゃ、来た!」から、打球をキャッチするまでの時間で考えることって…?

岡田:まずは「捕ってやろう!」と思いますね。でも、無理な打球もありますし、無理しちゃいけない状況もある。むやみやたらにダイビングキャッチするんじゃなくて、試合の流れや、その時の状況を考えながら判断します。

渡辺:ボールも飛んできますけど、ヤジも飛んできますよね。

岡田:はい、飛んできますよ(笑)。

渡辺:普通の人なら気持ちが折れちゃうよなって、いつも思うんですけど、どうやって気持ちをコントロールしているんでしょうか?

岡田:プロのユニフォーム着ているプロの野球選手ですから、普通の人じゃないです。

それが1年目、2年目の選手だったら分からないですけど、こうして8年もやらせてもらっていろんな経験もしているので、試合に出たらもう自信しかないですし、ヤジも気になりません。自信をつけるのは、事前の準備だったり練習だったりするわけですけど、それを怠らなければ、試合に出たら不安要素が顔を出すことはないです。

渡辺:そう考えると、岡田選手をここまでつくってきたものは「練習」であると言っても過言ではない?

岡田:そうでしょうね。やっぱり、僕も不安になることはあります。不安になるからこそ数多く打球を捕って、不安を取り除いてゆく。ベストな状況で試合に臨む。そうすることで、自分が持っている力をちゃんと試合でも引き出せるんじゃないかと思います。

ケガで野球をやめようと思った19歳の時

渡辺:野球から離れたいと思ったことはありますか?

岡田:大学に入ってすぐですね。

渡辺:大怪我をされた時ですか?

岡田:そうですね。その時は19歳で若かったですし、野球をやめようと思いました。でもそれが最初で最後ですね。それまで野球しかやってこなかったので、他の道はやっぱり考えられなかった。とにかく悔しい気持ちを野球にぶつけようと思い、再び野球を続けました。

渡辺:プロへの意識はいつ頃からあったんですか?

岡田:野球を始めた時からありましたよ。プロ野球選手になりたいんじゃなくて「なるんだ!」って思って、ずっと野球やってましたから。

渡辺:怪我が治って、野球の世界に戻って来た時も、プロへ進むイメージは明確にありましたか?

岡田:正直、薄かったですね。大学を辞めた時点で、もうプロ野球選手は無理だと思っていましたから。ただ自分が好きなことを一生懸命やろうと思って、社会人チームに入れさせてもらったんです。そのチームの先輩が、広島のスカウトの方と同じ大学で野球をやっていらした同級生で、「今日、スカウトが岡田を見に来てるから」って試合前に言われて、やっぱりまだまだプロ野球選手はあきらめちゃダメだと思って。そこから、もう一度プロを強く意識するようになりました。

次ページ 「先輩選手の話を聞いて学んだ若手時代」へ続く

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渡辺 潤平(コピーライター/渡辺潤平社代表)
渡辺 潤平(コピーライター/渡辺潤平社代表)

渡辺潤平(わたなべ・じゅんぺい)
コピーライター。渡辺潤平社代表。1977年生まれ。千葉県船橋市出身。早稲田大学教育学部卒業。2000年博報堂入社(第2MD局、第3制作局、第2CRセンター第5制作室)、2006年博報堂退社、同年6月よりground LLCへ参加。 同年12月よりフリーランスとして活動開始。2007年に渡辺潤平社を設立。

渡辺 潤平(コピーライター/渡辺潤平社代表)

渡辺潤平(わたなべ・じゅんぺい)
コピーライター。渡辺潤平社代表。1977年生まれ。千葉県船橋市出身。早稲田大学教育学部卒業。2000年博報堂入社(第2MD局、第3制作局、第2CRセンター第5制作室)、2006年博報堂退社、同年6月よりground LLCへ参加。 同年12月よりフリーランスとして活動開始。2007年に渡辺潤平社を設立。

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