魅力的な体験がブランド価値を高める — デジタル時代の競争優位戦略とは?マガシーク×AAE Japan(エクスペディア)

2007年にスタートし、今年で10回目を迎えた「インターネット・マーケティングフォーラム2016」。今年は「データドリブンからヒューマンドリブンへ─マーケティングの本質を実現するためのデジタル活用を考える─」をテーマに、6月8日・9日の2日間にわたって開催した。データの先にある「お客さま」の気持ちや生活を見据えるために、データをどう活用するか――。本コラムでは、講演の一部をレポートとして紹介する。


講演者

  • 井上 直也(マガシーク 代表取締役社長)
  • 木村 奈津子(AAE Japan(エクスペディア) マーケティング ディレクター)

魅力的な体験がブランドとの絆を深める

マガシークは雑誌に掲載された商品が買えるECサイトとして2000年に事業を開始。2015年度の取扱高は170億、会員数は約230万人へと飛躍した。一方、AAE Japan(エクスペディア)は、世界最大のオンライン旅行会社として1996年にマイクロソフトの一部門として設立され、1999年に独立。現在世界33カ国で展開している。顧客理解の取り組みや、体験提供を通じた関係構築の方向性について聞いた。

—どのようなブランド体験を実現していますか。

マガシーク 代表取締役社長 井上 直也 氏

井上:創業当時に比べ「欲しい」と思う瞬間が多様化していますが、その瞬間をいかに演出するかに重点を置いています。3月に立ち上げた「MagaCafe」では、流行しそうなコーディネートやドラマで使われたスカートなどの情報発信に力を入れています。また、売れると感じた商品はロケやスタジオで画像を撮る「欲しくなる画像プロジェクト」で効果を上げています。また洋服サイズを登録しておけば商品と比較できる「バーチャサイズ」を日本で初導入しました。スマホ搭載後は売上が急増し、この4月はバーチャサイズ経由の購入が昨年の約8倍を記録しました。

木村:旅行会社を選ぶ際に一番重要なことを調査すると、常に1位は「会社の信頼性」なんです。当社の場合、リピート率は非常に高いのですが、ブランド認知度が低いため、2010年からオフラインにも積極投資しました。最近は検索から予約までに複数のデバイスを使って行う傾向があり、ログイン履歴を引き継ぐことも重視しています。また、搭乗便のゲート変更や遅延、ホテルのマップを提供するなど、旅行終了時までサポートを行っています。

—トップとしてマーケターに求めること、一方でマーケターがトップに求めることとは。

井上:マガシークとd fashionにUXマーケティング部があり、成功パターンがあればもう一方にも導入する対応をしています。社員にも成果を得た取り組みや、テクノロジーの伸び率を常にウォッチしながら、新しいことにチャレンジして欲しいと思います。

AAE Japan(エクスペディア) マーケティング ディレクター 木村 奈津子 氏

木村:経営層はテレビCMを打つと翌日の売上につながると考えているようで、売上面でのプレッシャーは強いです。短期的な売上はもちろん大事ですが、ブランドを形成しロイヤルカスタマーを育むという視点でマーケティングをサポートしてもらえるよう期待しています。

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