ブランディング重視のLPでLTVが向上
ネスカフェアンバサダーにおいて、サンクスパーティーやキャンプなどのリアルのエンゲージメントを重視した活動が、20万人を超える会員組織の活性化に貢献しているというのも一つの例だと思いますが、デジタルマーケティングの分野でも「量」だけでなく「質」も重視することで成果を出すことに腐心されている事例を聞くことは増えてきた印象があります。
例えば、先月開催されたEC系のダイレクトマーケターが集まる「コマースサミット」では、通販系のWEBコンサルの草分け的企業であるペンシルがスポンサードするセッションが象徴的です。ここではレスポンスという「量」とブランディングという「質」をどのように両立するかを日々模索されている担当者の方々のディスカッションが行われました。
このセッションでは、JIMOSの川上智子さん、コーセーの江藤香織さん、やずやの宇野京子さんという3名の女性担当者による議論が行われました。お三方によると、一般的には、通販やECサイトはコンバージョンや売上のようなレスポンス成果の「量」がはっきり測定できるため、レスポンスをあげるための活動に偏りすぎてしまい、企業のブランディングに中長期で悪影響が出ることがあるという課題があるそうです。
そこで、やずやの宇野さんは、あえてレスポンス重視のランディングページだけでなく、ブランディング重視のランディングページも並行して作成することで試行錯誤を続け、ブランディング重視のページの方がレスポンスが高くなったという事例を作ることができたそうです。今では、レスポンスとブランディングの両立が可能ではないかという手応えを持ち始めているとのことでした。
JIMOSの川上さんも、同じような取り組みで自分はまだまだ苦戦はしているとしつつも、これまでは商品の機能的な特徴訴求が中心になっていたため、今後は企業や商品の裏側にあるブランドの考え方を伝えてファンになってもらうことにチャレンジしてみたいと明言されていました。
ある意味、短期の「量」ではっきりと成果が問われるダイレクトマーケティングの現場において、こういった中長期の顧客との関係の「質」を重視する担当者が増えてきている点は注目すべき現象と言えると思います。
企業の広告コミュニケーション活動も、ある意味、人間と人間のコミュニケーションの延長と考えると、当然「量」を増やせば良いというものではなく「質」も重要なのは誰の目にも明らかなはずです。ただ、「質」の「量」への変換が難しいからこそ、このマスマーケティング時代の100年は「量」だけに偏りすぎてしまった時代と言えるかもしれません。
これからのデジタルマーケティング時代に重要になるのは、「質」の価値を「量」で何とか表現することで、「量」と「質」をどのように両立していくかを考え続けることなのかなと感じています。