マーケティングは関係性の構築の時代へ 経営トップが考える、これからの顧客価値とデジタルの活用 ソニーマーケティング×メニコン×ルネサンス

2007年にスタートし、今年で10回目を迎えた「インターネット・マーケティングフォーラム2016」。今年は「データドリブンからヒューマンドリブンへ─マーケティングの本質を実現するためのデジタル活用を考える─」をテーマに、6月8日・9日の2日間にわたって開催した。データの先にある「お客さま」の気持ちや生活を見据えるために、データをどう活用するか――。本コラムでは、講演の一部をレポートとして紹介する。


講演者

  • 河野 弘(ソニーマーケティング 代表取締役 社長)
  • 田中 英成(メニコン 代表執行役社長)
  • 吉田 正昭(ルネサンス 代表取締役 社長執行役員)

クリエイティブ力や想像力をフルに働かせることが重要

成熟化した日本の市場では新規顧客開拓だけでなく、既存顧客との関係づくりも求められる。国内企業でいち早く、この視座に立ち、デジタルも活用したマーケティングを実践する3社のトップに、経営視点で考えるこれからのマーケティングの役割と期待を聞いた。

—マーケティングの課題とは。

ソニーマーケティング 代表取締役 社長 河野 弘 氏

河野:我々にとって一番の課題は、ロイヤルカスタマーをいかに増やすかです。そのためにはお客さまの気持ちをしっかりと理解しなければいけません。

また、マーケティングを単体で考えていては機能しない環境になっています。セールスやサービス、マーケティングは同じくらい重要です。コミュニケーション戦略全体をデザインし理解した上で戦略の中でマーケティングがどう全体を引っ張っていくかが大切だと考えています。

田中:ロボット開発が盛んになっている今、AIの浸透により仕事のあり方が変わったり無くなる仕事もある、と言われていますが、未来を見据えた商品開発を行わなければ、5年後には無価値化する可能性すらある時代です。

しかしながら、我々の扱うコンタクトレンズは、安全性試験なども含めると、開発に10年以上かかることもあります。社会の変化を予測してどう商品開発を進めるのか。マーケティングを行う上でクリエイティブ力や想像力をフルに働かせることが重要だと考えます。

吉田:フィットネス業界では、お客さまが施設に通って運動に取り組む人口を総人口で割った比率を「参加率」と呼びます。アメリカではこの参加率が15から18%あるのに対し、日本ではこのたったの3%にとどまり、しかも数値は20年間不変なんです。この数値だけを見ても、まだまだ柔軟性のある受け入れ体制が整っていないことを痛感します。当社では全国に134ある施設の地域性や市場のニーズに見合った新しい顧客の創造が必要だと考えています。

次ページ 「既存顧客を定着させる施策で新規顧客も拡大」へ続く

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