(第三部)
マス×デジタルでマーケティングを最適化する
講演者
- 資生堂ジャパン ダイレクトマーケティング部 Web推進室長 徳丸健太郎 氏
- キリン CSV本部 デジタルマーケティング部 デジタルマーケティング担当 髙柳裕行氏
- キリンCSV本部 デジタルマーケティング部 デジタルマーケティング担当 加藤美侑氏
- インテージ 執行役員 MCA事業本部長 兼 IXT(イクスト)代表取締役社長 長崎貴裕氏
- 宣伝会議 マーケティング研究室 主任研究員 陰山祐一
第三部は、資生堂ジャパンの徳丸健太郎氏、キリンの髙柳裕行氏と加藤美侑氏、インテージの長崎氏の4名によるパネルディスカッションが行われた。
冒頭では、徳丸氏が資生堂の最適化に向けたチャレンジを紹介。同社ではECサイト「ワタシプラス」を軸にして、DMPを構築。そのDMPにWebだけでなくPOSなどのリアルな購買データを紐づけることで、施策ごとの効果を分析している。徳丸氏は、「顧客の行動に関するデータを溜め、分析し、それを活用するというステップが大切になる。今後は、ECの事業部だけでなく、ブランドマーケティング部門の意思決定に役立つ情報を提供していくことが課題」と語った。
続くパネルディスカッションでは、「店頭への影響」「テクノロジーの活用」「テレビCMの効果」「組織体制」の4つのキーワードに対する考えを、それぞれが語った。
店頭に与える影響
髙柳氏は、「店頭での動きを把握するためにはi-SSPのようなデータは効果的だ。ただ、まだ『この時期にテレビCMをこのぐらいのGRPで打ちます』と営業する方が店頭への影響は大きく、得たデータをどう商談に活用していくかは今後の課題」と話した。
徳丸氏は、「ワタシプラスの会員に対してメールを送ることで、店頭で購入する率が高まることが証明されている。ただ、店舗側ではだれが送客されてきたかはわからない、また、立地などにより送客数にばらつきがあることから、店舗側がデジタルプロモーションの効果を実感できない面はある。今後は、店舗側が実感できるための仕掛けや仕組みづくりが必要」とした。
ツール・テクノロジーの活用
徳丸氏は、「ツールを選定する際、最初に目的を明確にすることが重要。ただし、マーケティングオートメーションツールのシナリオづくりも、クリエイティブも人間がやることになる。リソースも含めて体制をどう作るかを同時に考えないと上手くいかない」と話した。
一方で、髙柳氏は、「データをひとつ取得するのも、社内のさまざまな関係部署の協力がないとできない。社内交渉が重要だ」と述べた。
テレビCMの計測や効果
長崎氏は、「マスの施策効果を補完するためにネット施策を行ったり、ネット施策で仕掛けてからマスの施策を行うことで効果が倍増したりする。組み合わせることでどれだけの効果があったか、統合して分析しないと意味がない」とアドバイスした。
近年、注目されている動画広告について、徳丸氏は、「テレビを見ていない層へのリーチとして、スマホ動画をどう使うか考えている」と述べた。加藤氏は、「社内の動画広告への理解が進み、クリエイティブチームがCM撮影時にWeb用のものも同時に撮影するなど、連携が進んでいる」と話した。
組織体制
最後に、最適化に向けた組織体制について長崎氏は「3〜4年前と比べて、今は経営層に対するデジタルのコミットが変わってきているため、推進しやすい組織・体制を設ける企業が増えている」と述べた。
さらに、髙柳氏は、「マーケティングの意思決定に関わるさまざまなセクションと課題認識を同じにできるかが大事。デジタルのセクションは歴史的にも異端児のように見られることがあるため、他の部署の役に立つということを地道に示していくことが大切」と語った。同様に、徳丸氏も「部署間で課題を共有し、相手のことを知り、こちらのことも相手に知ってもらう。そのコミュニケーションを繰り返すことが重要」と述べた。
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