ブランディングの対象は1つではない
創業70周年記念サイトの対象は消費者だけでなく、社員も含まれている。佐野さんはその意図を「70年の歴史があると、自分の会社でも初期の頃を知らない人が多数います。このサイトが自分たちの原点を見直す機会になればという思いがあります」と話す。
佐野さんはさらにインナー啓発の意味や今回撮影した素材をコーセーの資産として残してほしい、他でも活用してほしいという思いから、自主的にポスターやステッカーも制作。クライアントにも喜ばれ早速インナーで活用されているという。
創業70周年記念サイトは公開後に大きな反響を呼んだ。その要因はクライアントと目指すべき方向を共有できたからだと馬瀬戸さんは分析する。
「例えば製品をクリックすると出てくる製品背景コメント。クライアントの担当者が研究所にいた方で、製品への思い入れがとても強く、一つひとつの製品への思いを書き起こしていただけました。私たち第三者だけでは70年の歴史
を語り尽くすのは難しかったと思います」。
また、クライアントの要求の本質にたどりつけたことも大きいと佐野さん。「当社はテクノロジーに強みをもつ会社ですが、僕は本質を掴むことが何よりも大事だと思っています。どんな手法でも最終的な目的は人に伝わること。会話の中からコーセーのブランド特性を引き出し、それをクライアントと一緒に最高の形で実現できたことが評価されたのだと思います」。
本質を見抜く力と、高度なテクノロジーでそれを実現する技術――コーセーのスペシャルサイトは博報堂アイ・スタジオの持つクリエイティブ力を結実した1つの成果と言えるだろう。
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