共有体験メディアとしての進化
アウトドアメディア(ODM)の守備範囲は広範囲にわたります。“アウトドアメディア”と言いながら、お家に届くオリコミや、駅、電車、タクシー、街中、店舗、空港等々、数え上げればきりがありません。生活動線と深く密着していることから、生活動線メディアとも呼ばれていました。また、広告効果として、生活者が毎日各ODMのタッチポイントで複数回接触することからフリークエンシー効果を期待されたり、交通機関に設定されている交通メディアは交通機関の持つ人員輸送能力からリーチメディアとしての役割を担ってきました。
しかしよくよく考えると、ただ単に生活に密着しているだけではなく、生活者が購買行動に出る直前にODMは存在しています。車内の中吊りに触発されて、駅の売店で思わず飲料を買ってしまうなど、リーセンシーメディア(注)として特色があったりします。
特に昨今、普段通勤、通学している電車やバス1社の広告でジャックされていたり、駅構内やよく通う街で企業イベントに遭遇したことはありませんか? 商品、サービスの売り場の最前線にあるメディアとして、バズを生む企画をODMで実施する事例が増えてきています。
例えば、新商品や、新サービスのプロモーションをイベントスペースで実施した場合、イベントに参加し、その企画が魅力的なものであれば、SNSなどで拡散。そのSNSを閲覧し、興味を持った方がまたイベントに参加するなど、生活者の体験事項を自らが情報発信し、仲間にも体験させ、体験を共有できるメディア“共有体験メディア”として活用されています。
地球上のすべてがメディアになる
個人的にODMのメディアプランニングをする際に重要視しているのは、PRの視点。得意先の課題に対してサーキュレーションや、業務の進行で効率的なメディアを提案するだけではなく、営業、クリエイティブの企画案を最も効果的にバズらせるには「いつ」「どこで」「誰に」「何を」「どの様に」選択するかが肝。翌日にどれだけテレビやネットのニュースに露出されるかをイメージしながらプランニングしています。
いい企画だけれども呼応するメディアがないなんてこともありますが、ないのであればメディアを創出してでも企画を実施させたい! という思いでやっています。極端な話、地球上の全てがODMになる可能性があります。そのうち“アウトドアメディア”にとどまらず、“アウトアースメディア”も出てくるかもしれません。無から有を生めるのも、ODMの魅力の一つです!
博報堂DYメディアパートナーズ
アウトドアメディア局ビジネス戦略企画部
馬場薫平
広告ビジネスに関わる人のメディアガイド2016
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