顧客満足度を上げるエンジンがアンバサダー
千田:もともと『グランズウェル』を読んだのは、「NPS®調査」がきっかけです。
藤崎:千田さんの根本には「顧客満足をいかに上げるか」が常にあるんですね。
千田:私はCS担当として今まで「顧客満足度」を調査してきましたが、それはほとんど「弊社の応対に対する満足度」なので、別の観点を加えたいと思っていました。そんな時に企業の経営指標として知られる「NPS®」に出会いました。NPS®スコアを上げることが、企業の推奨度を上げ、クチコミも増やすと知り、5年前にNPS®調査も開始しました。
当時、1年ほど、いろいろなことを行いながらNNPS®調査を取り、どうしたらスコアを上げることができるのか考察を続けていました。「ネガティブな人を中立に持っていく」「ポジティブを増やす」「プロモーターを増やす」など、方策はいくつかあります。試行錯誤する中で、推奨してくれる“プロモーター”を増やすことが必要という結論に達しました。つまり、いかにプロモーターを増やすか、あるいはいかにプロモーターを育てるかが、NPS®スコアを上げるカギだということです。
藤崎:そのプロモーターがアンバサダーというわけですね。
千田:その通りです。
藤崎:顧客満足を上げる取り組みが、アンバサダープログラムというカタチに発展したというのは興味深いですね。
“CS”をカスタマー・サービスやカスタマー・サポートとして捉えると、ユーザーの不満や疑問に答える仕事が一般的かもしれませんが、「カスタマー・サティスファクション=顧客満足」になると、だいぶ違いますよね。つまり、どうしたら顧客満足を上げることができるのかと考えると、能動的に働きかける方向にいきますよね。その具体化が、今回の顧客との積極的なリレーションにつながっていくわけですね。
千田:確かに、その一面がありますね。私個人の志向としても、「サポート寄り」というよりは「アクティブ寄り」ということが大きいと思います。顧客の満足を高めることで、ファンになってもらいたいですし、応援してもらえれば、それは本当に強い絆になると考えています。現状、考えられるマーケティング上の取り組みで、顧客満足を上げるために企業ができる具体的な施策のひとつがアンバサダープログラムだと思います。
藤崎:なるほど。今、できることのひとつというのは納得です。
千田:アンバサダープログラムを始めた他の理由としては、それまでソーシャルメディアマーケティングを行う中で、その人たちと直接会ってみたいという気持ちが高まってきたこともあります。私たちが本来知ってもらいたいサービスに関するストーリーや思いなども、リアルな場の方がよりわかってもらえるはずですし、ユーザーに「プロモーター」になってもらうためには、直接お会いすることが必要だと考えました。
藤崎:面白いですね。リアルを重視したいということですね。
千田:オンラインの会社だからこそ、リアルな接点を持ちたい。オンラインだけでなく、実際のユーザーとコミュニケーションしていくことも重要だということです。ブランド調査の結果で、gooの特徴として「親しみ、温かみ」というキーワードが出ています。ファンの方は少なくともそういう所に思い入れが強くあるので、それに応えていける場を作りたいという気持ちがありました。