アンバサダーは今後に向けた財産そのもの
千田:インナー向けの成果としては、私たちにアンバサダーという特別な関係が加わったことだと思います。つまり普通のユーザーと接する場合は、どうしても社外の人という距離感が存在します。一方、アンバサダーの場合は、社員ではありませんが、社外にいる外部社員のような感覚で接することができます。厳しいご指摘もgooを応援してくれているがゆえですし、gooの良さをすすんで第三者に伝えていただいています。
これは大変ユニークな関係です。社外にそういった応援団のような関係がいて、サービスの啓蒙やプロモーションに一緒に取り組めることはありがたいです。このアンバサダーの存在は、実際に社内の意識を変えています。
藤崎:社員にとっての、よい刺激になるのですね。
千田:一般のユーザーに対した時と、アンバサダーと対した時を比べると、後者の方が情報を主体的に取りに来てくれている実感があります。イベントでのアンケートもそういう結果が出ていますし、実際に情報を吸収したあとは、みなさん積極的に発信しています。それはオンライン上の調査からも確認できています。アンバサダーとのリレーションには、今までにない熱量を感じますので、接した社員はみんな刺激を受けています。
藤崎:好循環が生まれているわけですね。
新規事業の横展開でもアンバサダーが活躍
藤崎:ところで2015年から、格安スマホというカテゴリーで「gooのスマホ」の提供を始めましたよね。アンバサダーの反応はどうなんでしょうか。
千田:Webのオンラインサービス「goo」に加えて、デバイスも含めたサービスも始めたということで、アンバサダーの方を発表会に招き、詳しい説明を行いました。アンバサダーの皆さんはよく理解してくださり、情報発信もしています。
藤崎:なるほど、発表会に招待したのはいいですね。他には「gooのスマホ」の端末を、アンバサダーの方にモニターとしてお貸ししていますよね。
千田:アンバサダーイベントは東京で行うことが多いので、特に地方の方を意識してモニターを行っています。まずは、アンバサダーの皆さんに良さを実感してもらうことが目的です。もちろん、みなさん使いながら愛着や実感のこもった情報を発信しています。ありがたいことです。
藤崎:「gooアンバサダープログラム」が、他社に比べてユニークなのは、さまざまな「goo」というサービス群があることですね。ポータルサイトの「goo」はもちろん、「教えて!goo」、「goo辞書」など一つひとつの具体的なサービスにもファンがいます。さらに「gooのスマホ」という携帯端末への横展開もありますし、スマートフォンの「gooアプリ」のファンもいると思います。各ファンとの関係を作っていき、全体としてのCSを上げるという目標を持っているのが、他社のプログラムとは大きく違いますね。
千田:いい点をご指摘いただきました。実際のところ、一つひとつの個別のサービスにファンはいるんですが、その方が違うサービスに触れる機会は意外と少ないのです。そこで、アンバサダープログラムによって各サービスのアンバサダーが横断的に集まることは、全体としてとてもいいことなのです。
アンバサダー一人ひとりにgooのイメージがありますが、いろんな人に触れることで、今まで知らなかったgooのサービスを知ることができるからです。「アンバサダーイベント」のワークショップも、「他のサービスを知る」という点を意識して運営しています。まず、アンバサダーの方にそういう“オールgoo”を理解してもらい、複合的に情報発信してもらえればいいなと思っています。
藤崎:上位概念の大きなブランドであるgooブランドでアンバサダープログラムを運営しているので、枝葉に分かれた全てのサービスに対してアンバサダーの皆さんが力になってくれるのですね。こういった在り方はなかなか難しいと思います。“オールgoo”として力を結集しているというのはひとつの理想的なカタチですね。