「C CHANNEL」に学ぶ動画広告
C CHANNELは去年12月からハウトゥ動画を軸にする方向に舵を切ったそうです。いまはほとんどがハウトゥ動画。素敵なヘアメイク法やこじゃれた料理のレシピ映像が満載です。
「女性たちはもともと女性誌を読んでハウトゥを収集していたのだと思います。女性がきれいになるための情報って動いているほうが、親和性が高い。髪をこう結ってくださいとか、メイクはこれをこうやって塗ってくださいとか、動いているほうが伝わりやすいので、動画はニーズに合致しているのではないでしょうか」
なーるほど、言われてみると、女性誌のかなりの要素はハウトゥ情報でしたね。それが紙からWebに引き継がれ、さらに動画が受け皿になりつつある。そして広告について山崎さんはこう言ってます。
「月に数百本スタジオで制作しているので、縦型の1分ハウトゥ動画での制作力が磨かれてきて、それをクライアントさんに提供している形です。例えばコスメはブランドイメージだけでなく、どう使うのか、実際どうなのかが重要です。動画なら実際の使用感、発色がどうなのかなどをリアルに伝えることができます」
もう少し具体的に知りたい人は、例えばC CHANNELのこのページなどを見てもらうといいでしょう。
⇒C CHANNEL内の「マジョリカマジョルカ」の動画集
さて先ほどコンテキストがどうのこうのと書きました。
C CHANNELはどんなコンテキストを用意しているのでしょうか。言うまでもありませんね。「ハウトゥ動画」というユニークなフォーマットの動画を流しているので、商品のハウトゥ動画を流しても何の違和感もないし、それが企業の広告だとわかっても不愉快でも何でもないわけです。ポイントは、無理な褒め方はしていない点でしょう。このアイライナーはこう使うと、こんなにかわいくなったよ。誇張もウソもなく、見る側にとって役立つ“情報”にできています。“提案”はしていても、“買わせよう”とはしていません。
すでに若い女性たちには「C CHANNEL」の記号に、コスメやグルメのお役立ち情報をハウトゥ動画の形で見せてくれる場所、という意味を見てとっています。そういうコンテキストを用意し、それが広告と馴染むので、無理がない。最初の私の例のように記事を読む邪魔をしてページを閉じたくなるのと、正反対ですね。
なんかベタボメしちゃっていますが、C CHANNELは試行錯誤の末に、メディアとしての“発明”ができたのだと思います。その価値の源泉が、“自分たちで動画を制作していること”にあるのも、なんだかうれしくなってしまいます。やっぱりね、作ってる側の価値が高まりそうですよ、これからは。
しかしそんな大発明はできそうにないなあ・・・いやいや、そんなことないはずです。ポイントはこれまでのように「広告は、コンテンツと分離された枠である」という固定観念をはずすことです。もっとコンテンツと繋がった広告の手法はあるはず。もちろんステマにならないやり方ですよ。ありますって。それはまた次回で紹介してみましょう。
そんなことを考えるヒントにもなるかもしれないのが、この8月1日に宣伝会議からでる書籍『拡張するテレビ 広告と動画とコンテンツビジネスの未来』です。
もっともこれをまとめたあとで日々状況は進化していますので、この連載でどんどんフォローしていきますよ。