4人組ロックバンド・RADWIMPSの野田洋次郎氏によるソロ・プロジェクト「illion(イリオン)」は、新曲『Water lily』(ワーナーミュージック・ジャパン)のプロモーションを目的とした特設サイト「Connected Jam Video」を開設した。
「Connected Jam Video」は、同時にアクセスしているユーザーが楽曲音源を感覚的に操作し、ジャムセッションを行うことができるリアルタイム参加型サイト。
アクセスすると、サーバ上の絶対時間(※注) に合わせて楽曲が再生され続けている。ユーザーは、楽曲を構成する5つのパート(「Vocal」「Synth1」「Synth2」「Rhysm」「Code」)からランダムに担当パートが割り当てられ、画面上のビジュアルをスワイプ/タップ操作することで、楽曲音源にエフェクトをかけることができる。同時アクセス中のユーザーによる操作もリアルタイムに反映され、同じ時間を共有するユーザー同士によって生み出される、その瞬間だけの「Water lily」を体験できる。企画制作はdot by dot inc.。
リアルタイム参加型サイトというアイデアに至った経緯について、プロデューサーの富永勇亮氏とクリエイティブディレクターの谷口恭介氏は次のように話す。「野田さんからのイメージオリエン時に、『illionの音楽は前衛的でチャレンジングな部分を持っているので、今までにないWeb上での新鮮な音楽体験を提供したい』というお話があり、その際、ラファエル・ローゼンダール(※編集部注:インターネットを題材に多様な作品を発表する、ニューヨーク在住のアーティスト)のような、ミニマルなグラフィックを触って楽しめる表現が参考として挙がりました。コミュニケーションのメインターゲットはInstagram利用層ということで、『スマートフォンで触って楽しめる音楽体験』という切り口で企画を進める中で、楽曲をハブにユーザー同士が緩くコミュニケーションするという共有体験を付加できないかと考え、同時参加ユーザーによるジャムセッションというアイデアに至りました。実は、企画段階では楽曲が決まっておらず、表現手法から企画が始まったのですが、このアイデアを聞いた野田さんが、『それなら、この楽曲が合っている』と提供してくださったのが『Water lily』でした。涼し気な楽曲イメージや、『水面に映るWater lily(睡蓮)のように、絶えず変化し続ける音楽』というコンセプトの道筋が固まったことで、最終的なアウトプットに落とし込みやすくなりました」。
音楽領域における、デジタルを活用したクリエイティブとしては、「コードアワード2016」で受賞を果たした「Deja vu」(インビジブル・デザインズ・ラボ KAMRA)や、「Native Mobile Music Video」(キングレコード Lyrical School)なども記憶に新しい。
「聴く」だけにとどまらない、音楽の体験価値を向上させる取り組みが、次々と生まれている。富永氏・谷口氏は、デジタルテクノロジーが音楽領域にもたらす可能性について「音楽が、『ただ聴くだけ』のものから『楽曲を通じた体験や、コンテキストを共有する』という価値にシフトしていて、新しいテクノロジーはそういう価値を提供するのに適しているのだと思います。昨今、盛り上がりを見せているライブやフェスは、その場にいることが大きな価値になっていますが、そこにテクノロジーが入ってくることで、その場自体のアップデートはもちろん、その場の共有体験をWebなどを介してさらに広げていくことができると思っています」と話した。
スタッフリスト
- PR
- 富永勇亮
- CD
- 谷口恭介
- TD+PRG
- 衣袋宏輝
- D
- 伊藤太一
- PRG+フロントエンドエンジニア
- 池田亮
- SE
- イズカワタカノブ
- アシスタント
- 佐藤志都穂
- アシスタントPR
- 福地諒