ヒットメーカーの水野さんでも「CDを売るのは難しい」!?
中村:そんな仮面浪人・水野さんに(笑)、お話を伺っていきたいのですが、紅白には2008年から8年連続で出てるんですね。8年連続で出ているのにスタッフと間違えられるという。
水野:8年出て、6回止められたという。
澤本:すごいですね(笑)。
水野:ファンの人が数えていて、このときに止められたというのを数えると6回あるらしいんですよ。僕もしっかり覚えてないんですけど、本当に申し訳ない。
権八:なんかリハの写真か何かがって・・・?
水野:はい、ありました。「リハーサル中のいきものがかり」というニュースが出たんですよ。山下というもう1人の男性とボーカルの吉岡がいて、僕の立ち位置にはマイクチェックをしているADさんが写っていて(笑)。背格好が同じぐらいで、それが普通に公式のニュースとして出ていました。自分で「これ僕じゃないです」と突っ込むという。と。それがまたニュースになる(笑)。
権八:めちゃくちゃ面白いな(笑)。
中村:いきものがかかりはデビュー10周年ということで、3月にベストアルバム『超いきものばかり』が発売されました。これは10年が詰まったみたいな感じですか?
水野:そうですね。ボーナスディスクが入って4枚組で60曲という常軌を逸したアルバムです。
権八:すごいですね!
澤本:今までCDを1枚も買ったことがない人っていると思うんだよね。だから、この機会に1回CDを買ってみたらどうでしょうか(笑)?
権八:初めてのCDがいきものがかりというのはいいじゃないですか。
水野:うれしいですね。
澤本:でも、さすがに4人で1個買って、分けるのはダメだよね(笑)。
権八:分けるもんじゃないからね(笑)。
水野:本当に今はライブに来てくださる人でもCDを持ってない人がたぶんいますからね。1枚もCDを買ったことないけど、ライブは見に来るという人も多いし。今はなかなかCDを買ってもらうって難しいですね。
権八:うーん、そうか。若い子は買わないんですかね?
水野:買わないんじゃないですかね。僕が言っちゃいけないんですけど、やっぱり面倒くさいですもんね。自分のiPodなりに入れると思うんですけど、その作業も面倒くさいだろうし、モノもかさばる。CDプレイヤーで聞こうとすると、あの曲順で聞かなきゃいけないじゃないですか。それも結構強引だなと思っていて。
今だったら、この曲を聞いた後にそのときの気分で違うアーティストの曲を聞きたいというのが当たり前じゃないですか。それでいいと思うんですけど、作り手の1から12曲目までをこの物語で聞いてください、こういうメッセージがありますと押し付けすぎなところもあるような気がしていて。それがなかなかCDは難しいなと思うときはありますね。
中村:ですけど、僕らが若い頃はストーリーだと思って聞いてましたよ。3曲目にここ持ってくるかと。水野さんもベストアルバムをつくる行為ではそういうことをめちゃくちゃ考えて設計をするんですか?
権八:ベストアルバムというより、普段のアルバムのほうがアルバムごとにコンセプトがあったり、流れとかないんですか?
水野:確かに、ベストアルバムに比べたらオリジナルアルバムのほうがコンセプチュアルになりがちですけど、僕らのグループはもしかしたら特殊で、路上ライブからスタートしたグループなので、お客さんがそっぽを向いている状態からスタートしていて、どう振り向いてもらうかばかりを考えていたことが現実としてあって。だから、自分たちのストーリーやメッセージを伝えるという意識、自分たちが引っ張っていくみたいな意識が他に比べて低いと思うんですよね。
だから、オリジナルアルバムもバーッと曲をたくさんつくっていって、10何年前の曲も同じテーブルに上げて、全部聞いてみて、今一番輝きが増す曲をバランスよくおさえて、それを集めて出すという感じです。なので、ストーリーを組んで、この3曲目にはこういう文脈の曲が必要だという感じでつくったりはあまりしないんですよね。ベストアルバム的な感じでオリジナルアルバムも選んでいるというところが結構あります。
澤本:路上ライブをしていたときも曲順を考えるよりは、どんどん聴き続けてほしいという感じでやっていたんですか?