Ingress、ポケモンGOの開発現場。Niantic川島優志さんに聞く。【後編】

海外のすゝめ

優志:将来に対して希望をもっているかの統計を取ると、他の国に比べて日本はすごく低い。それって要は日本が地球規模で未来を見れていないからですよね。自分の村の未来しか見ていないというか。外に出ないせいで未来への希望が抱けない、それってすごく残念だと思う。それに世界が見えていないから、世界からの視点がよくわからない。自分たちが世界からどう見られているのかをうまく理解できない。

だから若い人で海外に出たい人がいるのなら、とにかく出てみるのがいいと思う。少なくとも世界を知ってみる。その上で日本に戻って、日本をよくするのもいいと思う。

あとは差別されるのを経験するのも大事だよね。カリフォルニアではアジア人に対する差別はほとんどなくなってきたけど、それでも差別が存在することは理解できる。

高:自分がマイノリティで不自由な立場を経験するのは本当に大事だと思います。

優志:オバマ大統領が広島を訪れて素晴らしいスピーチをしました。あれも黒人であるオバマ大統領だからこそ出ている説得力もあると思う。彼は差別を感じながら育ってきたはずだから。

日本での男女差別問題にしても、差別している側、それは多くの場合、会社で権力のある男性ですよね。彼らは差別されたことがないので、何が問題なのかその本質を理解ができていない。だから差別される側にも差別される理由があるとかいう理論が出てくるわけ。でも外国に来て自分が日本人だから、アジア人だからっていわれのない差別を受ける、そうすると差別とは何かがわかる。そういうのって体験してみないと本当にわからないと思うんです。

高: 本当にそうですね。偏見や差別のその多くは、憎悪ではなくて、むしろ無知からくるものが多いんじゃないかと思います。そういう想像力を働かせていくことが、より良い世界を作っていくためにとても大事になってくると思います。


2週に渡ってNiantic, Inc.の川島優志さんのインタビューをお届けしました。僕と優志さんとは(比べるのはおこがましいけれど)お互いシリコンバレーで働く数少ない日本人デザイナー。名前が似ている上に(「かわしま・たかし」と「かわしま・まさし」)以前は同じ会社で働いていたこともあり、人違いによる面白い(たまに笑えない)エピソードが何度もありました。

ただこうして腰を落ち着かせてお話をするのは、実は初めてのこと。デザインや英語、そして子育てに至るまで、僕が頭に浮かんだとりとめのない質問を、すべてきれいに打ち返してくれた優志さん。

優志さん、そしてNiantic, Inc.の「人の行動を変えるデザイン」によって、まさに世界中で人々の行動が変わりました。この世界を巻き込んだ社会現象に日本人が大きく関わっている。それは海外で四苦八苦するいち日本人デザイナーにとって、ちょっと誇らしい出来事です。僕も頑張らねば!

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川島 高(アートディレクター)
川島 高(アートディレクター)

1981年生まれ。慶應義塾大学卒業後、2004年に渡米。文化庁が主催する新進芸術家海外研修員として、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) にてメディアアート修士課程修了。アーティストとして作家活動を行う傍ら、アートディレクターとしてAKQAなどの広告代理店にて活動。日本人として初めてGoogleのクリエイティブラボに参画。サンフランシスコ在住。

Facebook: https://www.facebook.com/takashi.kawashima
Twitter: https://twitter.com/kawashima_san

川島 高(アートディレクター)

1981年生まれ。慶應義塾大学卒業後、2004年に渡米。文化庁が主催する新進芸術家海外研修員として、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) にてメディアアート修士課程修了。アーティストとして作家活動を行う傍ら、アートディレクターとしてAKQAなどの広告代理店にて活動。日本人として初めてGoogleのクリエイティブラボに参画。サンフランシスコ在住。

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