新興メディアにもスクープは出せる
後藤:新しい事実をしっかりとした裏付けを持って掘り起こすことは普遍的な価値があると思います。ただ、そうした中で生み出される「スクープ」の中身は、少し変わってきている気がします。
例えば、日本経済新聞は経済分野なら国内随一の取材網と取材力を持っています。しかし、LINEを例に挙げれば、2年半ほど前から上場すると何度か報じてきましたが、まったく当たりませんでした。
竹下:確かに、よく報じていましたね。
後藤:それはなぜかといえば、一つはLINEという会社が、重要な意思決定を日本でやっていないからと結論づけることができます。日本だけに閉じていては経済活動が語れない時代には、よりグローバルな視点やテーマ性を持った見方や取材ネットワークを持っていなければ、新しいタイプのスクープは出せないということだと思います。
古田:僕らも「安倍政権と『日本会議』 理論的支柱が明かす改憲への道筋」 という記事で、改憲運動を積極的に行っている「日本会議」という保守団体において、理論的支柱と呼ばれる憲法学者である日本大学の百地章教授にインタビューしたことがあります。「日本会議」の改憲戦略をかなり事細かく記事にしたのですが、これも一つのスクープの形だと思います。
実は憲法学者に取材申し込みをしているメディアはたくさんありますが、そのほとんどは取材できていません。その中で僕らができた理由は、担当記者の個人的な人脈やバックグラウンドがあります。おそらくもう一つある理由が、従来メディアの取材を受けたがらない人たちが増えてきているということです。
竹下:新興メディアだから、なかなか取材を受けてもらえないことの逆パターンというわけですね。
古田:まったく色がついていないから、逆に新興メディアの取材を受けたいと。ネット上で話題になる方が意味があると捉える人たちが、増えてきていると言えそうです。今までの主要メディアではリーチできない人物に僕らが話を聞くことで、スクープとして世の中に出すことができるようになってきたと感じます。
「広報会議」2016年9月号 巻頭特集「 PRになぜクリエイティブが必要か」
広報部門には多数のファクトがあり、まさにコーポレートストーリーやコンテンツの宝庫。
これらはクリエイティブの力や編集力を掛け合わせることで、PR効果を最大化することができます。
これからのPRに必要なスキルやノウハウ、成功例とは?
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もっと左脳でストーリー開発を!
- 嶋 浩一郎( 博報堂ケトル 代表取締役社長)
「ファクトづくりこそPRパーソンの得意技」
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【貝印「FACT magazine」】
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【スキル①】 コーポレートストーリーの構築
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【スキル②】 プレスリリースの作成
- メディアに社風と熱量を届けよう
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【ヤフー「OHAYO!」】
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【スキル③】 ビジュアルコミュニケーション
- 成功する企業は「写真」「動画」にこだわり続けている
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【スルガ銀行「井伊部長の温泉グルメ探訪」】
- 「惜しい!」企業発コンテンツを「欲しい!」に変えるには?
岡本純子(コミュニケーションストラテジスト)
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【国土交通省】
- 「ダムマニア向けコンテンツ」でファン獲得、政策へ理解を
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【増える企業発ウェブマガジン「制作体制と成果は?」】
- 資生堂/アサヒグループ食品/ラクス/エムオーテックス ほか
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OPINION
- ネイティブアドとは何か?「PRか、広告か」という争点
片岡英彦