「広告商品の改善はデジタルメディアの死活問題」急成長メディアQuartz発行人が語る<後篇>

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150年の歴史を持つ米国のオピニオン誌『The Atlantic』を発行するアトランティックメディア社。同社が2012年に開始したビジネスメディア『Quartz(クオーツ)』は、立ち上げから10カ月でUU数500万人を突破するなど、その躍進ぶりがデジタルメディア界の注目を集めてきた。マネタイズに課題を抱えるデジタルメディアも少なくない中、クオーツはいかにして独自のポジションを築き、それをビジネス上の成功につなげているのか。発行人のジェイ・ローフ(Jay Lauf)氏に話を聞いた。

—広告収入以外のマネタイズの手段についてどのような取り組みをしているか。例えば、オーディエンスデータの活用については、どのように考えているか。

読者の属性データや、サイト上の閲覧行動データは非常に注意深く観察しているし、どんな要素に反応したのか、動画の視聴完了率、SNSでのシェア……こうした情報をまとめ、クライアントに提供もしている。

しかし、登録会員の数がまだ十分ではないこともあり、オーディエンスデータを活用した行動ターゲティング広告などは現状実施しておらず、プログラマティックな広告枠売買のシステム(SSP)も、まだ構築していない。

—クオーツのトラフィックの多くがソーシャルメディア経由だと聞く。FacebookやSnapchatなどのプラットフォームをどう活用しているのか。

プラットフォームの活用にはいくつかの方向性がある。一つは、ディストリビューション(配信)ツールとしての活用。そしてもう一つは「ラボ」としての活用、特に動画コンテンツ配信の実験の場として使っている。

昨年から、動画制作により力を入れるようになり、ここ半年で130本もの動画を制作した。動画はクオーツのサイトに掲載することを前提とせず、FacebookやYouTubeといったプラットフォームへダイレクトに投稿することで、モバイルのフォーマットの中でどのように動画を見せるのが効果的かを探っているところだ。動画のほとんどはFacebookで視聴され、再生回数はのべ4000万回にのぼる。

しかし、動画をどうマネタイズするかはまだ考えておらず、例えばプレロール広告も、ユーザー体験を著しく毀損すると考え、行わないと決めている。読者に好意的に受け入れられる、動画活用のベストな方法を模索しているところだ。

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