他社とのコラボの可能性が生まれている
藤崎:2015年にライオンさんと一緒に行ったイベント「家事フェス」について教えてください。
石川:ライオンさんのオウンドメディア「Lidea」とのコラボレーション企画を進めました。ライオンさんが「家事をする時に聴くといいオススメ曲」を紹介する「家事フェス」というイベントを開設することになり、洋楽好きの一般ユーザーを探していました。そこで、アンバサダーにも「参加しませんか?」と募集をしたわけです。
アンバサダーにも家事フェスに参加してもらい、例えば、お風呂掃除に合う音楽や、気分が変わって掃除が楽しくなる音楽なども一緒に考えてもらいました。実際に、曲を流して体験した様子がLidea上で公開されています。
藤崎:洋楽のアンバサダープログラムをしていたことで社外から、コラボレーション企画が持ちかけられるようになったというわけですね。
石川:他社との連携など、次の展開として行いたいことが生まれました。今後の活動の幅に広がりが出たという実感があります。
藤崎:アンバサダーという組織を持っていると、他社とコラボしやすいということですね。
石川:当社にとっても、アンバサダーにとっても、コラボ先にとってもハッピーな企画にしたいですね。とにかくみんながハッピーになれるという点が、アンバサダープログラムのよいところだと感じています。
藤崎:私はハッシュタグに注目しています。アンバサダープログラムの公式タグは「#ユニバーサル・インタナショナル・アンバサダープログラム」ですが、各アーティストのファンが自発的にハッシュタグを付ける事例が多いですよね
石川:例えばテイラー・スウィフトだったら「テイラーのアンバサダーとして、こうしてください」っていうことを、こちらからはほぼ何も言っていない状態ですが、それでもいまだに「#テイラー・アンバサダー」を付けて、色々呟いてくださる方が沢山いらっしゃいます。
藤崎:嬉しいですよね。
アンバサダーと一緒に洋楽を盛り上げていく
藤崎:今後の課題や可能性などについて教えてください。
石川:アンバサダーミーティングでの議題の設定でしょうか。アンバサダーとはできるだけ実現可能なアイデアを詰めていきたいのですが、その議題の設定が難しいです。自由すぎても、限定しすぎてはいけないということです。
あとはアンバサダーのみなさんとの連携の仕方です。さすがに全部の方が能動的に動いているわけではないので、活性化させる方法について考えていきたいですね。例えば、プレミアステータスとか、ゴールドステータスなど、アンバサダーとしての貢献度でステータスをつくり、ユニバーサルの行うショーケースにスタッフとして参加できるなどもかんがえられます。そういった遊びのような企画も含めて、ファンと一緒に洋楽を盛り上げることは、まだまだ可能性があると思っています。つまり、洋楽を盛り上げる応援者としてバックステージ側に入ってきて欲しいわけです。
藤崎:一つひとつ丁寧に取り組んでいることがよくわかりました。このプログラムのすそ野がどんどん広がればいいなと思います。今日はありがとうございました。
今回のポイント
- 一緒にプロモーションを考える仲間になってもらう
- 1万クリックの成果
- アンバサダーのネットワークをフル活用する
- 他社とのコラボの可能性が生まれている
- アンバサダーと一緒に洋楽を盛り上げていく
今回のまとめ
昨今は、ユーザーの声を商品開発やプロモーションの参考にする、いわば「共創」に注目が集まっています。しかし、消費者がいきなり商品開発するのは難しく、プロモーションのアイデアもどこまで実現性があるのか疑問もあります。つまり、通り一遍の企業姿勢だけで終わるケースも多いと思うのです。
対してユニバーサルのアンバサダープログラムがすごいと思うのは、“アンバサダーにできるだけ情報を共有して、本当に実現させたい”と考えている点です。つまり、実現可能な方向性についてのフィードバックを行い、「一緒にプロモーションを考える仲間になってもらう」ことを目指しているのです。これはできるようで、なかなかできない企業とファンとの関係づくりです。
“洋楽を盛り上げる応援者としてバックステージ側に入ってきて欲しい”という話も印象的です。ユニバーサルさんは、ファンと本気で向き合っていることがひしひしと伝わってきます。約1万人のアンバサダーと一緒に「日本の洋楽シーン」を盛り上げていく取り組みから、今後も目を離せませんね。