シン・ゴジラとポケモンGOのヒットに見る「量」と「質」
『シン・ゴジラ』は公開前にそこそこの量のテレビCMがスポットで展開されていました。
でもこれが、盛り上がらない内容。どんなゴジラかはあまり出てきません。役者たちが何やら会議したり興奮したりしている。でも映画の内容はほとんど伝わらない。
監督である庵野秀明氏が自ら予告編も編集し、徹底的に「見せない」映像のものにしたそうです。私も、なんだかよくわからないなあ、期待できそうにないなあ、と本当に思いました。
ところが、公開翌日のTwitterを眺めていたら、先に見た人たちがただならぬ雰囲気を書き込んでいます。「これは大変な映画だ」「とんでもない作品だ」「絶対もう一度見る」そんなツイートが並ぶと、これはすぐ見ないといけないのではという気になってしまい、のんびり過ごすつもりだった土曜日を『シン・ゴジラ』に費やしたのです。
『ポケモンGO』については説明する必要もないでしょう。
7月にテレビのニュース番組やワイドショーで、海外でいかに話題になっているか、ヒットしているか、騒動も含めて取りあげられました。なんだかとりあえずやってみないわけにはいかない空気が日本中を包みましたね。そして、今日らしいとか、いや明日だとかネット上ですったもんだあっての上陸でした。日本でも大騒動を巻き起こしました。
いずれの場合も、まずテレビで認知を高めています。
「庵野秀明がつくる新しいゴジラ」「海外で大流行のポケモンのスマホゲーム」という、基礎情報はマス的な情報流通で十分に浸透する。その上で、ソーシャルを通じて“熱”が伝わる。その結果の大ヒットです。
私の新著「拡張するテレビ」のテーマも「テレビとネットの融合」ですし、重要なキーワードとしてソーシャルテレビの概念も出てきます。この記事で挙げた3つの例も、ソーシャルテレビ的な解釈ができそうですね。テレビの認知と、ソーシャルの熱が両方重要、そういうことでしょう。
テレビがないとダメなら、予算はかかるね、大きな商品じゃないとダメなんだね。いやいや、そうでもないと思いますよ。「認知」の部分をふさわしい規模で生み出すことも可能だと思います。そんなことも含めて、私たちは試行錯誤しなければならない時代なのでしょう。
こうした領域をみんなで追及する、ソーシャルテレビ推進会議という勉強会を運営しているので、ご興味あれば、こちらをどうぞ。 何よりも、新著のほうよろしくお願いしまーす!
そうそう、今月末に開催される「宣伝会議 プロモーション&クリエイティブフォーラム2016」で30日の14:05から私のコマがあるので、ご興味あればそちらもおいでください。恥ずかしながらサイン会とかやるらしいですよ。