「定点観測っぽい」と言われる理由は?
中村:作画というか、カット割についてもお聞きしたいんですが、さっきネットで見ていたら「定点観測的なカメラの使い方をしている」ということが書かれていたんですけど、監督ならではのメソッドがあるんですか?
細田:映画館で見るとスクリーンが大きいじゃないですか。スクリーンの中で観客がどこを見るかというと、映っている人物の目を見る。その目が、つまり登場人物の顔がスクリーンの上のほうにあると見づらいんですよ。だから、なるべく見やすいように、ちょっと下にします。テレビだとそれはやらないでしょ?
澤本:やらないですね。
細田:テレビだと、ちゃんと上に顔があっても見えるし、そっちのほうが安定するじゃないですか。映画館はスクリーンがでかいから、上のほうに目があるときっついんですよ。どこを見ていいかわからなくなっちゃう。だから、見やすいようになるべく画面を引き気味にするんですね。引き気味にしているので、定点観測をやってるみたいに言われるんですけど、そういうわけじゃなくて、見やすさのためにやってるんです。
中村:すごい!リスナーのみなさん、監督はこんなことを考えてつくってるんですよ!
細田:余計なお世話かもしれませんけど。
中村:みんなで帰るときのごはんのことまで考えてるんです。
澤本:少なくとも細田さんの映画が次に流れたときは「ごはん、おいしいぞ」と思って見に行って。
中村:恐らく次回作もまだわからないが、ごはんは・・・。
細田:ごはんはそうですね、映画館を出たらいろいろ食べたくなるものがあるんじゃないかなという気も。わかりませんけど。
澤本:大きなヒントですね。次の映画もごはんがおいしくなるっていう。
中村:それは首を長くして楽しみにしつつ、もしよかったら齋藤優一郎プロデューサーから今後の活動についても教えていただけますか。
齋藤:新作は一生懸命、監督と一緒につくっていきますが、10月25日からはじまる第29回東京国際映画祭で「映画監督・細田守の世界」という特集上映をしようと思っています。細田作品と映画監督・細田守を様々な切り口からあぶり出すような、企画になればと思っています。これまで作品と細田監督をずっと見続けてきて頂いた方々も、またこれから新しく知って頂く方々も双方が、なるほど、面白いと思って頂けるような特集上映にしようと思ってますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
中村:『情熱大陸』みたいな(笑)。そういう感じではない?
齋藤:これまでの細田作品を塊と文脈で見て、また新しさも感じて頂けるような。さまざまな視点を置いてみたいと思ってますね。
中村:10月25日からの東京国際映画祭、チェックしておいてください。ということで、あっという間に時間が経ってしまいました。名残惜しいのですが、今夜のゲストは映画監督の細田守さん、そしてプロデューサーの齋藤優一郎さんでした。ありがとうございました。
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構成・文 廣田喜昭