「生活者視点で見える動画の種類と可能性」
少し前までは、「若者のテレビ離れの影響で、TVCMでは届かない層が出てきたから、その人たちにインパクトのあることをしなければ」、という理由で動画が選択されてきたと思います。もちろんそれはその通りなのですが、動画を「HHH」に当てはめて考えてみると、それだけが動画の役割ではないことがわかると思います。
例えば、Gaiaxが発表した調査結果によると、「20-40代の女性の約20%は、毎日、動画のレシピをみている」そうです。とすると、食品メーカーさんが自社商品を活用したレシピを動画でつくるというのはごく自然なことだと思います。
あるいは、家電量販店の店頭ってどの商品を買おうか迷っているお客さんがたくさんいますよね。でも店員さんの数って、けっこう少ないものです。そこで、目の前のスクリーンを使って、店員さんが説明するのと同等かそれ以上に詳しい説明動画を用意しておけば、機会損失せずに、購入するお客さんも増えるかもしれませんよね。
はたまた、車を持っていない人が初めて車を買うなら、まずは車が実際に走っている動画を見てみたい、と思うかもしれません。いいなと思った車を所有している人の1日を紹介するライフスタイル記事が動画付きだったら、読みやすい上に、車の動きも把握できていいですよね。映画や感動話が好きな人なら、うるっと、涙を誘われるような動画を見ているうちに、いつの間にか、その動画をつくった企業のことが気になったり、好きになることもあるかもしれません。
こんなふうに、生活者の目線に立って、ちょっと自分の生活を振り返ってみると、世の中には、本当にさまざまな動画の種類があって、動画であれば助かることもたくさんある。そんな動画の持つ可能性の大きさに気づかされますよね。
「あらゆる可能性を吟味する」
そして最後に大事なことを一つ。ここまで動画の可能性について話してきたのですが、コミュニケーションの全てを動画で組み立てる必要はありません。あらゆる選択肢を検討した結果、ターゲットや訴求する内容を踏まえると、動画がベスト!となれば動画をつくればいいのですが、検討の結果、TVCMがやはり一番効果的、ということもあるでしょう。
同じ理由で雑誌とのタイアップや新聞広告、交通広告や店頭でのプロモーションが一番有効だ、となることだってもちろんありえます。動画を推進している立場の僕たちがこんなこと言ってしまうと怒られる気もしますが、「絶対やらなきゃダメなわけじゃありません」。
常にフラットに、あらゆる可能性を吟味することから、動画のコミュニケーション・デザインは始まると思います。毎日新しいサービスが登場し、はやり廃りの激しい世界だからこそ、その姿勢を常に保つように僕たちも自分自身に日々、言い聞かせてます。
次回は、HERO動画の特徴について
この連載では、オンライン動画「HHH」の中でも、特に注目度の高いHERO動画を中心にお話ししていきます。次回は、これまで動画の代名詞だったTVCMとHERO動画は何が違うのか、どこに気をつけるべきか、これまでの経験から見えてきたことをお伝えします。