—クリエイティブは、コムアイさんにとって大事なものですか?
音楽を含め、私が普段やっているのは、何かを生み出す“クリエイティブ”な仕事がほとんど。「どうやったら、他の人が面白いと思うか」とか、「どうすれば、綺麗だと思えるか」ということばかり考えていられて、ありがたいです。
私はもともと、広くクリエイティブに興味を持っていましたが、音楽にそれほど興味があったわけではありませんでした。音楽一本でやっている人に対して申し訳ないという思いもあったんですけど、実際にやり始めてから、音楽の面白さがどんどんわかってきました。今日みたいな撮影でも、レコーディングでも、やることは一緒というか、より良いものを目指してチューニングしていく感覚は、似ていると思います。
—宣伝会議賞は、広告コピーのアイデアを競うコンテストです。コムアイさんにとって、言葉とは?
言葉は、あまりに強い。強すぎて、責任重大だと思います。写真や映像といった、言葉がないシチュエーションのほうが楽ですね。
宣伝会議賞のメインビジュアルは、写真の上にコピーが載りますよね。コピーが添えられる広告って、あまり経験がないので新鮮です。言葉に負けないように、言葉のイメージだけで印象に残らないように、強いビジュアルをつくろうという意識で撮影に臨みました。言葉を使う立場としては、私は初心者。上手い使い方を考えてもピンとこないので、実は、和歌を勉強してみようかと思っています。
—歌っている姿を見て、言葉を使うのを楽しんでいる印象があったので、意外です。
言葉は重くて、ときに“煩わしい”。全然、自由に操れていないんです…。だから、水曜日のカンパネラの楽曲では、あえて使う言葉の量を多くして、一つひとつの言葉の意味が目立たないようにしているところがありますね。歌詞がたくさん並んでいると、個々の言葉の存在が立つより、“かたまり”“ひとまとまり”のように調和して見えるじゃないですか。そうやって、言葉が持つ鋭さや重さを、薄めているのかもしれません。
人に何かメッセージを発信するときには、音楽のほうがやりやすい。でも、人に「あの曲知ってる」「あの曲いいよね」と伝えるときには、歌詞でないと伝えにくいと思います。音楽を伝えるための一つの媒体として、歌詞はとても大切にしています。
自分で歌詞を書いたり、書いてもらったりするときには、言葉に愛着を感じることもあります。思わずクスッと笑えるような、ダメな子をかわいがるような…そんな楽しさがありますね。皆さんもそう感じてくださっているといいなと思うのですが、水曜日のカンパネラの歌詞は、そんな“かわいらしさ”を大事にしています。
—宣伝会議賞に取り組む方にメッセージをお願いします。
“かわいげ”のあるコピーをつくってください。たくさんの人に響く言葉は、美しさもありつつ、かわいげも必要だと思うので。例えば、なんだろう…「サラダ記念日」とか。コピーではないですけれど(笑)。カッコいいだけじゃ心に沁みない。人間味のある言葉が好きです。頑張ってください!
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