05 見せ方を変えただけで、ブランド価値まで変わる!?
Fruit of the Loom「 Welcome to Früt」(米国)
「かわいくない」「安っぽい」「おばさんくさい」といったイメージで、 パッケージ入りの下着を敬遠する女性たちに、どうやって自社の商品を買ってもらうか。アメリカのアンダーウェアブランド「Fruit of the Loom(フル ーツ・オブ・ザ・ルーム)」は、パッケージ入りの下着に対するネガティブなイメージを変える、ユニークなポップアップストアをオープンした。
実はこのポップアップストア、Fruit of the Loomの商品をいつものパッケ ージから取り出して展示・陳列しただけ。店内の雰囲気はハイセンスでモダンなランジェリーショップで、価格表 示も実際の値段よりやや高い。来店した女性たちは、もちろん「パッケージ 下着なんて…」などと拒否せず、商品 そのものの品質やデザインを見て、陳列された商品を気に入った様子。購入時、店舗の壁に隠していたFruit of the Loomのロゴを見せて、ネタばらし。女性たちに、日頃いかに「イメ ージ」に対して無駄なお金を支払っているかを伝えるとともに、Fruit of the Loomの商品の品質の高さを効果的に 訴求することに成功した。
06 「静かさ」が一番の魅力─小さな村の面白観光プロモーション
グラウビュンデン観光局「The Village-Phone promotion」(スイス)
スイスの南東部に位置するグラウビュンデン地方。そこに、自然に囲まれた静かな村「トシュリン」がある。どれくらい静かかというと、村の中心にある公衆電話のベル音が鳴ったとき、全村民166人がはっきり聞こえるほどだという。その「静かさ」こそ、村の価値。そこに目をつけたグラウビュンデン観光局は、トシュリンならではの観光キャンペーンを実施した。
キャンペーン参加者は、村の公衆電話に電話をかけるだけ。ベルが鳴ったら、村人たちはたとえ仕事の途中でも 全速力で公衆電話へと走る。誰かが電話に出たら参加者の負け、出なければ参加者の勝ちで、グラウビュンデンへ の旅がプレゼントされる。キャンペーンの一環として、電話に出た相手の顔を見られる特設サイトも開設。顔を見ながら住民との会話を楽しめるようにすることで、トシュリンへの親しみを醸成しようという狙いだ。キャンペーンは多くのメディアに取り上げられ、瞬く間に話題に。期間中の6日間で3万件を超える電話がかけられ、3900 件を超える会話が成立、特設サイトの閲覧数は150万PVを記録した。
07 校内に設置した洗濯機が、子どもの出席率をアップ
Whirlpool「Care Counts」(アメリカ)
家が貧しく、家賃と食費を払うだけで精一杯で、洗濯はいつも後回しになってしまう。そんな家庭の事情で清潔な服を着られず、友だちにからかわれる・いじめられるなどの理由で登校拒否に陥る生徒が、格差社会・アメリカで増えているといい、その数は毎年4000人にのぼるとの推計もある。
十分な教育が受けられないことで、仕事に就くことがますます困難になり、生活難をいつまでも解消できない…そんな悪循環を問題視し、大手家電メーカーのWhirlpoolが、あるプロジェクトを実施した。学校内に洗濯機と乾燥機を設置し、生徒たちがいつでも自由に自分の服を持ち込んで無料で洗濯ができるようにしたのだ。2つの学区にある17校を対象に実施した結果、子どもたちの出席率90%に維持できるようになったとのこと。プロジ ェクトは全米の注目を集め、300近く の学校から問い合わせが相次いだとい う。日常生活における洗濯の問題を解 決することで、教育環境を整えようと する、この取り組み。洗濯機を置くだけで、出席率が上がる──このことに、教師たちも驚いたという。