僕らは、ひたすら走るしかない
渡辺:辻さんと僕は歳も一緒だし、話しやすさもあって、たまに会いたくなってどちらからともなく連絡を取り合っていますけど…。
辻:最近、忙しくなってなかなか会えなくなりましたね。
渡辺:辻さんが忙しくなったからね。お互い会食も多いからしょうがないけど。
辻:予定を空けておけば友だちと飲めるじゃないですか?でも、真面目だから全部予定を入れるんですよね。
渡辺:そこが辻さんのいいところですよね。辻さん、人が好きじゃないですか?そういう場を大事にする人だと思いますし、そういうところが変わらないから友人としても信頼できる。
その辻さんの人間性が、マネーフォワードの根っこにある気がするんです。今回、新オフィスに初めて伺いましたが、社員の方の雰囲気がとてもいいですよね。辻さんはマネックス時代から人となりが変わらないし、自分に対しての負荷の掛け方も変わらないですよね。
辻:やっていることはマネックス時代と全然変わらないですね。毎日、金融サービスをつくっているだけ。「なんでそんなに頑張ってるんですか?」ってよく聞かれるんですけど、そんなに頑張ってる意識はないですね。潤平さんだってそうじゃないですか?
渡辺:結局、好きなことをやっているだけですからね。
辻:どこまでやり続けるんでしょうね、僕たちは(笑)。
渡辺:誰かにやらされているわけじゃないから、ひょっとしたら死ぬまでじゃないかな(笑)。早めにリタイアしたい、って考えることはありますか?
辻:全くないですね。まだ僕の段階で、そういうことを口にするのは早すぎる。ひたすら走るしかないんですよね、きっと。
辻さんは、いつでも本当に楽しそうに話をします。それは仕事の時もオフの時も、まったく変わりません。人を引っ張るのではなく、人が集まってくる組織。マネーフォワードさんの活気ある雰囲気を眺めているうち、ふとそんな言葉が浮かんできました。
つくり手としての意志が強かった辻さんが、大きな組織を束ねる社長という立場にシフトする。それでもやっぱり、自分のエンジンは、金融サービスを生み出す「つくり手」としてのプライドに他ならない。辻さんのそんな言葉を聞いて、これから先も、ひとりのプレイヤーとして仕事を続けていく勇気が湧きました。まったく畑は違うけれど、持っているハートは同じなんですね。
天使のような笑顔の裏に潜む、鋼のような意志。硬くて熱い芯のような意志に触れることができて、辻さんが同志としてますます頼もしく思えました。
非進化論的メモ
- 目指すものはただひとつ。ユーザーに喜んでもらうこと。
- 起業はあくまで、価値を生み出す「手段」。
- つくり手としての自分を、常に真ん中において判断する。
- 生み出したものの価値と、生み出した人間の価値は完全に別物。
- 好きなことと誠実に向き合い、ひたむきにそれを続ける。