広末涼子を見出した黒須さんに聞く、ブレイクする人材を見抜くポイント(ゲスト:黒須美彦さん)【後編】

将来、もしもテレビCMがなくなったらどうする?

澤本:黒須さんはCMや動画のみをつくるという感じなんですか?

黒須:どうなんですかね。ちょっとそろそろ考えようかなと思ってますけど、受動的に見るメディアであるテレビの映像に広告が乗ってくるんだったら、まだ少し考えられるから。ただ、それ自体がシュリンクしそうだから、それと共にやらなくなっていくのかなという気はします。

澤本:場所を移転する感じですか?

黒須:だからと言ってWebに行くかというと、たぶんWebはたくさん見ますけど行かないという気もする。VRでどうつくっていいかってよくわからないもん。VRが広告にどう関係するか、ちょっとわからないし。

中村:VR、バーチャルリアリティーですね。360度グルグル見渡せたりするようなアレですよ。現実と虚構がないまぜになるような、でおなじみのVRは今わりと広告業界やテクノロジー業界でもブレークしかけというか、何か可能性があるんじゃないかとなっているメディアですね。

黒須:カンヌでもVRのテーマばっかりだったと聞きましたけど、そんなことない?

澤本:まぁ、そうですよね。この間、権八と話したんですけど、「広告をどうすればいいんですか?」という相談って、「CMをどうつくる」「ポスターをどうつくる」という話じゃなくて、「どうPRするか」という話ばっかりですもんね。

黒須:PRですよね。

澤本:「流行らせ方をどうすればいいんですか」という話で。ネットやSNSなど、いろいろな手段を使って、「どうやったら広まっていきますか」という話なので、コンテンツの話じゃなかったりする。

黒須:たまたま数十年前にみんながテレビに注目するようになって、そこに入るCMも楽しむようになった奇跡的な歴史があって。元はそんなのなかったわけで、その昔もPRと言っていたりする。そういうこととほぼ同じことで、テレビが衰退した後も他のいろいろな関係性のあるメディアを模索するんだろうなと思います。でも、そこに行く気力はないという。

権八:え、そうですか!?

中村:前にちょっと話をしていた別のところの社長をやられたりするんですか?

黒須:いや、一度社長をやってみたら、経費をいろいろ使えたりして面白いのかなと思って言っただけです(笑)。

澤本:そんな小さな話なんですか(笑)?

黒須:めちゃ、小さいんです。でも、広告の仕事をやってると時間がないじゃないですか。まとまった時間を別のことにかけることがなかなかできなくて。澤本さんみたいに「シナリオを書いたらいいんじゃないか」といつも言われるんだけど、短いのなら書けそうだけど、長いものを構想する時間はない。もう少しゆったりできるようになったらですね。今度は本を書きたいなと。本というか、ビデオブック。

中村:ビデオブック?

黒須:「所作の辞典」というのをつくりたいなと。所作に対する分析の文章とそれを簡易CGでつくって。映像と文章で1ページごとにいろいろな所作が書いてあるみたいなものをつくってみたいと思って、ちょっと書きはじめたんですけど。

権八:面白いね。

黒須:でも、いつになるかわからないけどね。

権八:終わりがないというか。

黒須:ない。だから切らないとね。有名人の所作でもいいし。ジェームズ・ディーンが昔、ジャイアンツで最後にひれ伏していたああいう絵でもいいかなと思ったり。

権八:つまり、それにまつわる何かエッセイみたいな、コラムのような。

黒須:普通はエッセイがあってそこに挿絵があるじゃない。挿絵自体が所作の動きがある簡易線画のCGみたいなものがあれば、大したことないけど面白いかなと思って。

権八:面白そう。

黒須:そんなことをこの前思っただけですけどね。まぁ、思ったからいいやみたいなところもあって。

中村:いつまでも話せそうな感じなんですが、悲しいかなお別れの時間が近づいてきております。黒須さんの今後の活動は、まずはビデオブックですかね?

黒須:そうですね。「孫の力」が終わってしましましたので。

権八:「孫の力」というのは毎月女優さんとデートしていた連載で、広末涼子、山口智子、清水富美加、檀れい、波留、夏帆、橋本愛、黒木華、etcって錚々たる面子。

中村:「妄想デート」という名のもとに本当にデートしていたという。終わってしまったんですね。

黒須:雑誌が休刊なんですよ。

中村:他にも何かあったりしますか?

黒須:DJをちょこちょこやったり。

中村:DJやられてるんですか?

黒須:アナログ盤のね。

権八:CMで言いますと、僕が一緒にやってるストロングゼロやWOWOW。それから明光義塾のサボローというキャラが話題になったり。

黒須:そうそう、サボローの本が出ます。8月末に。

権八:YDKという言葉も流行りましたよね。やればできる子、YDK。

中村:すごいですね。ごめんなさい、私不勉強で。あれもこれも黒須さんなんですね。

権八:あとは広告だと今おやりになられてるのは?

黒須:森永のin ゼリーやチョコレートのダースなど。

中村:めちゃくちゃやってますね(笑)。今後の活動を教えてくださいというか、日々みんなが見てるという。

権八:そうそう、だから黒須さんのCMだと思って見てください。

中村:残念ながらお時間が来てしまいました。本日はありがとうございました。今夜のゲストはシンガタのCD、CMプランナー黒須美彦さんでした。

<END>

構成・文 廣田喜昭

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