「鬼メソッド10」
・メソッド1 「感情トリガー」
まず、僕たちが注目したのは、生活者がSNSでシェアする時の感情です。おそらく何かしらの感情を刺激されたから、他の人にも知らせたい、シェアしたいって気持ちになるんじゃないかと考えました。そこで、世の中でヒットしているといわれる動画を見まくって、どんな感情が刺激されるとシェアされる動画が生まれるのか、を分析して整理してみました。それが「感情トリガー」です。
大別すると、これら10個の感情を引き金(トリガー)にして、動画ってシェアされていると思います。
解説するとこんなイメージです。
- 胸熱:日本代表が世界で称賛! → 「うおぉ! 胸が高ぶる! 熱くなる!」
- カワイイ:猫の寝顔 → 「超絶カワイイ!」
- カッコイイ:イケメンすぎるユニフォーム姿 → 「悶絶めちゃカッコイイィィィッ!!」
- 感動:共感するストーリー → 「涙腺崩壊!」「涙とまらん」
- 啓発:意識が変わる、行動を揺るがす言葉・行為 → 「私がいつも思っていることを代弁してくれた! なんてすてきな行為!」
- ヒドイ:号泣釈明会見 → 「ムカつく、イラつく、ヒドすぎる!」*マーケティング活動には向いてないので、外して考える
- 物議をかもす:意見が分かれるドレスの色 → 「私は○○派」「僕は○○派」
- セクシー:お色気・チラ見え → 「おもわず興奮!」
- 信じられない:神技!凄アクション → 「こんなことできるの?!」「初めて見た!」
- 爆笑:電車で見ちゃダメなやつ → 「腹筋崩壊!」「笑うしかないw」
どの感情を刺激する動画なのか、ということをブレずに考える、ということを大切にしています。
・メソッド2 「PR IMPAKT®」
「感情トリガー」と同じくらい大切にしているのが、「メディアが報道したくなる視点」です。数年前に、電通と電通PRからなるPRチームで、メディアの報道内容を分析してまとめた「PR IMPAKT®」というメソッドがあります。メディアが報道したくなる「切り口」を6つの視点で整理したものです。知り合いのメディアの人に見てもらったことがありますが、「確かにこういう視点で報道ネタを探してるよ! よくまとめたね!」と言われたので、そうズレてないと思います。
僕たちは、HERO動画だって、この視点があれば報道ネタになり得ると考えました。HERO動画的にいうと、こういう視点になると思います。
「超リアルに見えて、実はほぼすべてCG(Inverse)」とか、「人間技と思えない、スゴすぎる(Most)」「総制作時間3000時間(Keyword)」とかって、よく記事の見出しになってますよね。見出しになるようなトピックスから逆算して企画を考えよう、とよく耳にしますが、こうやって見出しの傾向を押さえておけば発想しやすいですよね。ただ、そこに縛られすぎると飛んだ発想が出にくくなることも懸念されるので、企画を立てた際のチェックリスト的に僕たちは使っています。
・メソッド3 「グローバル&ノンバーバル」
オンライン上にコンテンツをアップするということは、特定の地域にネットワークするのでなく、言わずもがな世界中だれでもアクセスできるということですよね。よって、誰がアクセスしても、そのコンテンツを楽しんでもらえるように設計したいと考えています。字幕を入れるとか、概要文に英語も併記するとかは、すぐにできるので今や必須の対応です。さらに、感覚的にわかってもらえるほうが感情をダイレクトに刺激して、シェア力が高まるので、そもそもノンバーバルに伝わる内容のコンテンツになっているほうが、より良いかもしれません。
「でも、海外の人はターゲットじゃないし」というご意見も聞こえてきそうですが、ここで重要なのは逆輸入の視点です。日本人は海外で話題になっているという現象を好むので、海外で見られているという事実があれば、日本のメディアで取り上げられる「Trend(今海外で話題の…)」の切り口になり得ます。巡り巡って、日本のターゲットの心を刺激することになるのです。
・メソッド4 「Power of サムネイル」
YouTubeやSNS上で、動画のプレイボタンを押してもらえるかどうかは、サムネイルが放つパワーの有無で決まります。せっかく質の高い動画をつくっても、サムネイルに力がないと、同じ画面に表示されたたくさんの動画たちの中に埋もれてしまい、多くの人にスルーされてしまうからです。サムネイル制作のときに心掛けるべきポイントは、大きく3つ。「視覚的にインパクトがあるか」、「コンテンツの内容を魅力的に反映できているか」、「スマホなどの小さな画面で見たときにも1秒でわかるビジュアルになっているか」という3点です。