「コピー筋肉」を鍛えよう。

こやま淳子/コピーライター・クリエイティブディレクター

京都生まれ。早稲田大学卒業後、コピーライターへ。博報堂などを経て2010年独立。最近の仕事は、プラン・インターナショナル・ジャパン「13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない。」、ロッテ乳酸菌ショコラ、ライオン「hadakara」、NHKスペシャル、ワコール、楽天、星野リゾートなど。著書に『ヘンタイ美術館』『しあわせまでの深呼吸』『choo choo日和』シリーズ他。

 

今年もやってきましたね、この季節が。私も昔はせっせと応募したなあ、と懐かしく思います。いまから少しエラソーなことを書いてしまうかもしれませんが、その前に告白すると、もういまの私は宣伝会議賞を獲ることはできない気がしています。あの頃も、結果的には協賛企業賞どまりでしたが、ただひたすらそのためにコピーを書き、何百本も応募をする気力があった。けれどいまは、まずそんなモチベーションがない。もうトシだし、仕事も楽しいし、100万円くらい自力でさくっと稼げてしまうからです。

あ、すみません、これは自慢したいわけではなくて、あの頃の自分のパワーはすごかったなと。モチベーションがあるって、素晴らしいことなんだなと思うわけです。それによってひたすら自由にのびのびとコピーを書いた経験は、日々ルーティンな仕事をしているだけでは、鍛えられない筋肉を鍛えてくれた気がしています。

画像提供:shutterstock

そう、コピーを書く力も訓練です。ふだん考えないことを考えると、そのぶん書けるコピーの幅も広がるし、スポーツみたいなもので、書いていないと鈍ります。いまだに私も、休み明けはなかなかコピーが浮かびません。いいコピーを書きたいなら、毎日コピーを書かなきゃダメだと常々思います。

だから、宣伝会議賞に取り組むあなたも、毎日コピーを書きましょう。下手でも、何も浮かばなくても、ダメなものしか出てこなくても、毎日書く。週末に100本書くより、毎日20本書いたほうがきっといいコピーが出る。なぜなら、脳って不思議で、一度スイッチを入れると、考えてない間にも勝手に考えてくれるものなんです。筋トレをすると、休んでいる間にも筋力がつく、というのに似ています(スポーツ全然しないのにこんな例えを選んでしまいましたが…合ってるのかな…)。

ただし、やみくもに書き始めないこと。いや「やみくもに書く」って、むしろ難しい。そこにどんな課題があって、見た人をどんな気持ちにしたいのか、きちんと自分の脳にディレクションしておかないと、脳だって何を考えればいいのかわかりません。

そして、やるからには、ちゃんとグランプリを目指しましょう。協賛企業賞どまりだった私ですが、いえ、だからこそ言いたいのは、「グランプリを目指していなければ、小さい賞だって獲れないよ」ってことなんです。

審査員をしていると、毎年「これ、SKAT狙いか?」と思うような、気持ちの入っていない、どこかで見たことあるようなコピーがずらずらと並んでいます。思うに、たとえどんなに正しくたって感動を生まないコピーに、票は入らないんじゃないでしょうか。だって宣伝会議賞は、何万本も応募作があるんですから。どうやって審査員をハッとさせてやろうか、感動させてやろうか、そんな気概がなければ、きっとSKATにだって入らない。そして自分にとっても、いい筋肉にならないと思うのです。

はい。最初の話に戻りましたが、やっぱりコピーを書くためには、まず「強い気持ち」が大切なんですね。あなたのなかのモチベーション。嫉妬心とか、悔しいとか、いまに見てろよ!という気持ち。それこそが、かけがえのない宝なのです。それは、そのうち消えてしまうものかもしれない。どうかそれを無駄にしないで、宣伝会議賞に、思い切りぶつけてあげてくださいね。


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日本最大規模の公募広告賞「第54回宣伝会議賞」は、11月11日13:00まで作品応募を受付中です。課題は好評発売中の「宣伝会議」10月号誌面をご覧ください。また、応募は公式サイトで受け付けています。

「第54回宣伝会議賞」審査員
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