「DJダイノジ」でドリカムや矢沢永吉とも共演。今、引っ張りだこの理由は?(ゲスト:大谷ノブ彦さん)【後編】

22年で「これがベタか」とようやく気付いた

大谷:ちょうどこの間まで、ウカスカジーというミスターチルドレンの桜井さんが組んでるグループと一緒に全国ツアーを回ったんですよ、DJで。

澤本:すごいですね。

大谷:DJダイノジでウカスカジーと全国ツアーをやって、ドリームズカムトゥルーさんのフェスに出て、今度は氣志團万博で永ちゃんの後にDJやるんです。

中村:永ちゃんも尊敬してらっしゃると。

大谷:尊敬してるし、大好きなんで。初めての永ちゃんとの邂逅が、永ちゃんのステージの後に俺たちがDJするときだという。

中村:すごい!

大谷:僕はラジオのリスナーにボスと言わせていたので、綾小路翔くんがボスの後にはやっぱりボスでしょと。いや、ダメでしょ。そんなミクロのボス(笑)。それも裏の会議で笑ってることをそのままやっちゃうという。そのときは桜井さんと色々な話をして、「ポップスや大衆に届けるって何なのか」「その人のモノになるって何なのか」ということを考えさせられましたね。いい経験をさせてもらいました。

ドリカムのフェスも3万5千人の前でDJやったときに、漫談から入ったんですよ。3万5千人の前で漫談をやったことなかったけど、今はもう体制が整っているというか。

権八:もう怖くないですね。

大谷:怖くないですね。考えオチは通じないんで。やっぱり違う漫談やしゃべりになるんです。そういうときってわかりやすいボケが大事なんだなと。ポップスってこういうことなんだって思いましたね。

権八:1人で漫談したんですか?

大谷:1人で漫談したんです。まず出ていって、漫談からはじめて、みなさんと契約したいんだと。みなさんがこうやって踊ってくれれば、後ろの人は踊るんでと。その果てには世界平和を願ってる、みたいなことを言って、それでみんなと踊ってみたら、隣の人がその気になるかもよっていうようなことを小ボケも入れながら。ただ、3万5千人は小ボケもちゃんとボケないとウケないんで。一部の人が笑うやつじゃダメで、これがベタってやつかと。22年目にしてやっと気づきました(笑)。

中村:めちゃくちゃ面白い。

澤本:3万5千人が目の前で笑うわけですよね。

大谷:そうなんです。でも、それってシンプルなものだったりするんですよ。たとえば、ジャンケンで「最初はグー。ジャンケンポン」と言って、何も出さないっていう。「出せよ」っていう一言で笑う。出て行って、みんながワーって声を出してくれた後に、「最後にみんな1つになるぞ、せーの」と言って、「何言うんだよ」とか。そんなのが一番ウケる。

澤本:本当にわかりやすいやつ。

大谷:本当にわかりやすいもので、ちゃんとボケたものですね。ミニマムなボケはやっぱり100人以下の劇場じゃないとウケないし。逆に言えば、ドリームズカムトゥルーやミスターチルドレンはそことずっとやり続けてきた人達なんだということですよね。

中村:大谷さんは舞台にも出演されるということで、8月26日から29日まで、キングコング西野さんが脚本を務める。舞台『ピラミッドだぁ!』に出演されます。

大谷:そうなんです。毎年1年に1回は夏喜劇をやろうと、去年に続けて、脚本は西野に書いてもらって。伊東四朗さんや三宅裕司さんがやっていた感じの東京の軽演劇に憧れているんです。吉本なので、新喜劇はちゃんと完成されてるんで、そうじゃない東京の軽演劇を自分たち流にできないかということで。

西野くんが書いていた脚本がそれに近くて、去年バチッとハマったんで、今年もやろうと。僕が今、DJや色々なことをやって地方に行くのは、村おこしをやりたいからなんです。東北行ったときに、東北の復興って、ちょっと次の段階に来てると思ったんですね。

澤本:次の段階。

大谷:つまり、「被災された方の日常を奪還する」、これが一番大事で大前提だと思うんですけど、他県からその町に来て、お金を落としてもらう。観光地として、次の展開をやっていくというのが大事と思ったときに、アジアからのお客さんはどうしても大阪、北海道、福岡に集中してるんですよ。東北になかなか行っていない。

それはもしかしたらコンテンツがないからかなと思ったときに、地元の若い子たちが水族館をつくったり、いろいろやっていると聞いて。これって日本全国の問題で、僕の実家もシャッター街になっていて、昔はそういう産業で栄えてたところが観光地になる踏ん切りが付いていない状態なんですよ。

中村:大谷さんのご実家は大分県でしたっけ?

大谷:大分県佐伯市。大分県はちなみに47都道府県で観光客が宿泊しない率No.1なんです。みんな福岡に泊まっちゃうから。温泉入って福岡に行っちゃう、ということは、ホテルであったり、夜の楽しい場であったりをつくらなきゃいけない。そうなったときに、何かきないかなと。それで新しいお祭りをつくるってことで、4月に別府市長と一緒に「湯かけ祭り」というのをやって。

ホリエモンにたまたま出会って、僕のイベントに来てくれて、ホリエモンと別府市長と一緒に食事したんです。そのときに別府市長が「新しいことをやりたい」と言ったら、堀江さんが「タイの水かけ祭りというのがあって。それとEDM(エレクトリックダンスミュージック)のウルトラフェスが合体したら、とにかく楽しかった」と。別府はお湯が余ってるんで、「湯かけ祭り」はどうだとなって、4月にやったんですよ。

僕らも飛び入りで行って、神輿に乗って、町の人がお湯をバンバンかけてくるんですね。だけど、そこにはまだ歌や踊りがなかったり。やってみて楽しかったけど、まだ町の人にはかけてないんです。みんなスマホを持ってるし、ルールがまだできてないから。それでも十分楽しかったんで、来年は神輿の上でDJやって、町の人がみんなで踊って、観光客の人がお湯かけるというのはどうかなと。

そしたらアジアの人達が来て、きっと写真を撮ってくれるじゃないですか。愛知県のほうで、盆踊りでブラジルの移民の方々が踊りたいと言ってきたんだけど、ディスコミュージックをかけるとおじいちゃんやおばあちゃんが踊れないからどうしようと言って、30年前に街の青年団の1人の人が間をとって、荻野目洋子さんの『ダンシング・ヒーロー』で踊ろうと言ったという話を聞いて。

一同:

大谷:「なんでそれが間なんだよ」という話ですけど、街中の人が全員踊るんですよ。『ダンシング・ヒーロー』でちゃんと踊りがあって、おじいちゃんおばあちゃんから子どもまで全員踊るんですよ。本当にすごいんです。つまり、文化って誰かの思いつきで根付いちゃえば、つくれちゃうんだということがすごいと思って。それが村おこしになっていったら、めっちゃいいじゃないですか。

面白いから見に行くみたいな。今回の『ピラミッドだぁ!』という話もまさにそうで、西野が書いてくれた物語は、村おこし用に「自分の村にピラミッドがある」と嘘をついて、テレビ局の人が来て、嘘をみんなで付き合っていって、それぞれみんなが被害者になっていくという喜劇なんです。

権八:面白い。

大谷:村おこしコメディで、ちょうど今のタイミングでやりたいと。そういう舞台です。

中村:全部、面白そうですね。

大谷:面白くなかったら、僕は人間的には最悪なんで(笑)。

澤本:去年もやられていましたよね。あれ、面白かったです。

大谷:うれしい、そうです。それの第二弾です。

次ページ 「今年もACC ラジオCM部門の審査員に抜擢」へ続く

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