オプトホールディングは16日、中国最大級の生活情報アプリ「大衆点評」との販売代理契約を日本企業として初めて締結し、訪日中国人個人旅行者の50%以上が利用する(※『大衆点評』調べ)同アプリのインバウンド・ソリューションの販売を開始した。これにより日本企業は、同アプリに企業(店舗)情報を登録し、店舗の近くに来た旅行者に対して自動的に広告を配信することなどが可能になる。
「大衆点評」には、グルメ、ショッピング、美容、周辺観光スポットなど、中国国内で400万店、海外でも800万店の店舗情報が登録されている。日本の店舗も、東京・大阪・京都・名古屋・北海道を中心に、飲食や物販など260万店舗が登録され、日本における月間アクティブユーザー数は、訪日中国人個人旅行者の50%にあたる20万人以上にのぼる。
同アプリには、次の三つの特徴がある。一つ目は、訪日前・訪日中・訪日後という一連のユーザー行動に即して広告を配信できるということ。二つ目は、企業側の登録による店舗情報が表示できること。企業側が伝えたい、正しい店舗情報をユーザーに提示することができる。三つ目は、おすすめ店には「店頭ステッカー」を表示すること。「大衆点評」の評価基準をクリアした店舗に付与されるもので、日本企業はオプトホールディング経由で申請できる。この表示により、ユーザーからの信頼感を醸成する狙いがある。
『大衆点評』の販売代理契約を締結した狙いについて、オプトホールディングの担当者は「昨今、訪日中国人客はFIT(Foreign Independent Tour : 団体旅行やパッケージツアーを利用せず、個人で海外旅行に行くこと)が主流となり、訪日中国人個人旅行者の約半数が、本アプリを活用して、個人旅行のための情報収集をしています。しかし、アプリ内のコンテンツなどは改善の余地があり、そこにビジネス機会があると考えました。インバウンド市場は盛り上がっていると言われていますが、本気で市場やユーザーと向き合っている企業はまだ限られており、多くの企業は、まずはできるだけ小規模にインバウンドマーケティングをスタートさせたいと考えています。本サービスを通じて、企業がインバウンド市場に本気で取り組むきっかけをつくれたら」と話す。
一方で、『大衆点評』だけを企業に提案する考えはないという。中国人ユーザーの消費行動に基づき、訪日前・訪日中・訪日後という各フェーズにおいて適切なサービスを企業に提供していく方針だ。「本アプリでは、特に訪日中の旅行客の消費行動に大きな影響を与えることが可能だと考えています。『大衆点評』に注目した最大のポイントは、6億人にのぼるユーザー数と利用頻度の高さ。中国人が最もよく活用している生活情報アプリであることを、実際に中国国内で目の当たりにしました。日本における本アプリの利便性が向上すれば、訪日中国人観光客は自身の旅行体験をより良いものにできる可能性が高まりますし、日本企業は中国人の消費行動に合ったコミュニケーションを実現できる。ユーザー側と企業側、双方にメリットがあると感じています」(同)。
「大衆点評」はもともと、ユーザーが企業の情報を登録し、ユーザーが主体となってコンテンツを拡大させていくモデルを採用している。そのため、日本企業の現在の掲載情報=コンテンツはユーザーが登録したもので、企業がユーザーに届けたいコンテンツや正しい情報が登録されているとは限らない。また、表記も英語/中国語表記が混在している。オプトホールディング担当者は、「企業が本当に伝えたい情報ではなく、場合によっては正しくない情報に基づいてユーザーが意思決定を行うことは、企業からすれば機会損失につながる可能性もあります。本アプリを活用したことのない日本企業に、まずは情報を掲載してもらい、実際の効果を体感してもらいたいです。そして一定の効果が得られたら、各種広告商品を活用した、次のフェーズをご提案していければと考えています。“爆買い”ブームはひと段落したとされるものの、日本を訪れる中国人旅行者は今後も増加していくと言われています。本アプリを通じて、日本企業とユーザーのコミュニケーションのきっかけが構築できたら」と今後の展望を話した。
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