パナソニックさんは、2013年ごろからSNS広告等でオンライン動画を積極的に活用し始め、YouTubeの公式チャンネルにも、日々さまざまな動画をアップ。その数、今や2000本超! 僕たち鬼ムービーも、いわゆるHERO動画の企画・制作で少しお手伝いをさせてもらっていて、今年1月にパナソニックさんとして初のHERO動画「LOVE THERMO #愛してるで暖めよう(#WarmUpWithLove)」をローンチしました。
パナソニックさんが、オンライン動画に注力する「理由」はなんなのか。そこには、どんな「ノウハウ」があるのか。多くの人が求めてやまないヒットのための「答え」はあるのか。パナソニックのコミュニケーション部 WEB&宣伝課の木村知世さんに聞きました。
「バズってほしい」は、企業側の一方的な思い
—いわゆる「バズる」という意味で、ヒット打率を上げる秘訣はどこにあると思いますか?
「バズる」って、もう死語かもしれないですが、「バズる」ことを目的にして動画をつくると、あまりうまくいかないですよね。「バズってほしい」って、動画をつくった企業側の一方的な思いなんです。見る人側の感情ではありません。だから、見る人のタイミングや気持ちを気にせずに、とにかくヒットさせたい、という思いだけで動画をつくると、結果的にうまくいかないと思います。お客様に、よりスムーズに受け入れられる内容かどうか、タイミングかどうか、という点をきちんと考えて初めて、うまく受け入れられるのではないでしょうか。動画をつくることと同じか、それ以上に、世に出るタイミングを意識することは大切ですよね。
—「LOVE THERMO #愛してるで暖めよう(#WarmUpWithLove)」も、暦の上で最も寒いといわれている「大寒の日」にローンチしましたよね。
そうです。お客様が、能動的に「見たいな」「見てみようかな」と思った“瞬間”を捉えて動画を公開するほうが、見ていただける打率が上がると思ったので、あの動画の場合は、大寒の日を選びました。最も寒い日だから、大切な人を愛の言葉で暖めよう、というメッセージがお客様に深く伝わりやすいと思ったんです。お客様が、その動画をより受け入れやすいタイミングがあるなら、「その日」に公開したほうが、きっといいですよね。
—そういう考えは以前からお持ちだったのですか?
2015年の8月にチームで渡米し、Google(YouTube)とFacebook(Instagram)、Twitterの各社を訪問しました。各社から“モーメント”についての話が出て、すごく学びになりました。つくる中身もさることながら、お客様の共感を呼ぶには、発信のタイミングがいかに重要か、ということに気づかされたんです。
同じ内容のコンテンツでも、どの日に接触するのか、ということで生活者の反応は大きく変わります。さらに細かく言うと、一日の中でも朝、昼、夜どのタイミングか、あるいは、平日の通勤時間帯なのか、休日の就寝前なのか、つまり、お客様の“どの瞬間”を捉えるのか、ということでも変わってきます。いわゆる、「マイクロ・モーメント」という考え方です。発信する動画が、そういった“瞬間”のどのシチュエーションに向いているのかを、丁寧に考えるべきなんですよね。