ファンでもない企業アカウントをフォローする理由は?
SNSの主役はユーザーであるということが分かったときに、どのようなアカウントをSNSで運用すればいいのかということは明白です。わざわざユーザーが、企業アカウントをフォローする理由は2つしかありません。
- すでにブランドのファンであるから
- 自分にとって有益な情報を発信しているアカウントと認識したから
この2点です。1に関しては、自然なことだと思います。では2がどういうことか具体例をあげながら説明していきます。
Instagramアカウントのあるべき姿として、私はよくこちらの例を紹介します。ビールブランドである「Corona Extra(コロナ エキストラ)」のInstagramアカウントです。
ご覧いただいて分かるように、Coronaが写っていてもとてもさりげなく、また写っている枚数も全体の割合として少ないのです。そして、Coronaといえば、ビール1本でプロダクトも1つしかありません。その中で、彼らは世界観を伝えることに振り切り、自分たちのブランディングを行っています。
Instagramの中で有益な情報を発信しているアカウントだと認識される一つに「見ていて気持ちのいい写真を投稿する」ということが挙げられます。Pinterestであれば、Pinしたくなる写真を提供すること、Twitterであれば思わずRTしたくなるうんちくを盛り込むことも、有益な情報を発信しているアカウントと認識される要素かもしれません。
消えてしまうInstagramのStoryやSnapchatに関しても同じです。Starbucks(スターバックス)では、政治や社会イベントなど、ユーザーが関心のある出来事について、タイムリーにInstagramのStoryを投稿し続けています。
それぞれ、Starbucksの商品に関係なく、ユーザーがいま興味を持っていること、行われている行事などを投稿しています。この日はそれぞれの事象に関して複数の投稿を続け、Starbucksのロゴすら出てこない日もあったと思います。
大前提を理解したうえでどのようなアプローチができるのか
この2社に言えることは、「SNSの主役はユーザーである」ということをきちんと理解し、企業がどういうアプローチをしていくかを、きちんと検討しているということです。その結果として理想的なSNS運用をしています。2社のように、極力商品を出すな、と言いたいわけではなく、ファンでもない企業のSNSアカウントをユーザーがフォローするメリットを考えましょうということが言いたいのです。
「私たちはブランディングではなく、ダイレクトな消費を生みたいんだ!」という声も聞こえてきそうですが、そもそも購入を訴えかけるような投稿ばかりを続けたSNSアカウントに対して、ユーザーがアカウントをフォローする理由はどこにもありません。ファンでない限り。
大前提が理解できていれば、HPの商品写真をInstagramに投稿し続けるようなアカウントは出現しないでしょうし、Snapchatは運用すべきか、などといった質問は生まれないでしょう。マーケターが忘れている「SNSの大切な大前提」について、お灸を据えて、今回はこの辺で失礼します。