広告がブロックされてしまう時代に、広告主の姿勢はどう変わるべきか

広告をコンテンツ化することで脱ノイズ

パネリストには、ヤマト運輸の広報戦略部長である阿部和彦さん、日本ケロッグのマーケティング部グループマネージャーである五味田里美さん、そしてスバルでネクストストーリー推進室の担当部長をされている岡田貴浩さんの3名の方に登壇していただきました。(なお、筆者が勤めるアジャイルメディア・ネットワークでは、ヤマト運輸のクロネコヤマト アンバサダー及び、日本ケロッグのオールブランアンバサダーの支援をしています。)

3人のパネリストの方々に共通しているのは、広告もPRも両方関わった経験があり、従来の広告だけに依存しないユーザーとのコミュニケーションを模索されているという点です。

その中でも、ヤマト運輸の阿部さんと、ケロッグの五味田さんの2人に共通しているのは、マスもデジタルもPRも統合的に考えなければいけない立場であるという点。

日本ではテレビの力が強いですから両社ともテレビCMを初めとしたマス施策は当然実施しています。ただ、マス施策だけでは届かない人たちや、マス施策では伝えきれれないことを伝えることの挑戦としてお二人とも取り組んでいるのが、いわゆるコンテンツとしてのネット動画です。

例えばヤマト運輸では、宅急便コンパクトを開始するにあたり、当然テレビCMも展開していますが、こんなネット動画にも挑戦され話題になりました。

テレビCMがCGも使って作り込むのに対し、こちらのネット動画は2分弱の動画のために8時間以上の撮影を行って、CGを使わないリアルな動作を撮影するのにこだわったそうです。

一方でケロッグでは、フルーツグラノラのプロモーションとして、こちらもテレビCMも実施していますが、YouTube上ではこんな動画に挑戦されています。

テレビCMでは商品の特徴やおいしさをアピールすることが中心なのに対し、こちらのYouTube動画ではお笑いコンビ・オードリーの春日と子どもたちが登場するダンス体操動画を配信。
 
どちらも明らかに、テレビCMとネット動画で真逆のアプローチと言えるでしょう。

テレビCMであれば番組の間に自動的に放送されるため、ある程度企業側の宣伝色が強いメッセージでも多くの人に見てもらえますが、ネット動画では「コンテンツ」であることが重要になります。広告としてブロックされる動画ではなく、コンテンツとして楽しんでもらえる動画であるかどうかが非常に重要になると言えるでしょう。

動画がコンテンツとして面白ければ、それをネイティブアド的に配信すれば、広告を意識的にブロックする人たちもコンテンツとして楽しんでくれる可能性があるわけです。

参考:ケロッグ、ユニークなダンス動画で子どもたちに朝食の習慣化を促す

一方、3人の中で異色なのが、スバルネクストストーリー推進室という広告ではできないことを行うのが役割という専門部署で、既存顧客とのコミュニケーションに取り組んでいる岡田さんです。

次ページ 「広告がブロックされる時代のもう一つの選択肢」へ続く

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徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)
徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

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