広告換算は毎日の「歯磨き」と一緒。主張するものではない
Q:新しい審査基準では、Documented Resultsいわゆる「成果」のところに、「パブリシティの広告換算は禁止」と書かれていますね。これには衝撃を受けました。かなり思い切った表現ですね。
本田:衝撃的と感じる人があまり多くないといいんですけどね…(笑)。だって、マーケティング・コミュニケーションだろうと、コーポレート・コミュニケーションだろうと、ある課題解決のためにターゲットの態度変容や意識変化を目指してPR活動を始めるわけで、最初から広告換算値の獲得を目的にしてる人はいないはずなんです。でも、組織内の報告や経年比較のために、一応、習慣として広告換算値も出しておこう、とやっているとついそこに目が行きがちになる。資料としても、本質的な結果よりも広告換算って残りやすいですからね。
冨岡:パブリシティは、あくまで中間プロセス。それを経て何を達成したのか、という成果の「本質」を突き詰めてほしいですね。PRのゴールは広告換算値ではないことを業界の共通認識として示す意味で、今回あえて明記しました。
本田:2011年のカンヌライオンズのPR部門審査委員長のフライシュマン・ヒラードのCEOが、当時の審査過程において、「パブリシティはPRのプロフェッショナルにとって“歯磨き”と一緒」と発言したと聞いています。私も広告換算を完全否定はしません。でも、歯磨きみたいな当たり前のことをことさら主張するのは、もう違うんじゃないかなと思います。5年前の国際広告賞でそういうメッセージが出されているのだから、日本のPR業界としては、取り入れるのが遅すぎたくらいです。