「書けなくても、書いてきた」 — 言葉のプロ2人は「書く」力をどう磨いてきたのか

賞は、本気で獲りたいと思った人が獲るもの

阿部:僕は電通に入社後、最初は人事部に配属されました。でも、どうしてもコピーライターになりたくて、面談で「3年だけでいいのでチャンスをください。広告をつくらせてください。3年で芽が出なかったら、あとはどこに異動になっても構いません」と宣言してコピーライターになった。だから、何としても結果を出したい・出さなくてはという思いがありました。

宣伝会議賞を知ったのは2008年で、その年に応募したコピーは25本。1本も1次審査を通過することができませんでした。コピーライターになって初めて応募した2009年は、本気で取り組んで200本を応募。うち3本が1次審査を通過しましたが、2次審査は通過できませんでした。翌2010年、コピーライター養成講座を受講した上で1800本を応募しましたが、1次審査通過が37本、2次審査通過は1本で、その先には行けませんでした。それはもう焦りましたね。

ついにコピーライター3年目の2011年を迎え、過去最多の2223本を応募。当時は、紙に書いたコピーを郵送する応募スタイルで、段ボール1箱一杯分になりました。そうして、1次審査通過44本、2次審査通過4本、最終ノミネート1本で、ついに協賛企業賞を受賞することができました。

会社の先輩から「一生懸命、何をしているの?会社の仕事を頑張りなよ」と言われたこともありましたが、それでも「ここに、阿部広太郎というコピーライターがいるんだよ」ということを伝えたくて必死でした。この経験を通じて強く思ったのは、いいコピー書きたいと思ったら、とにかく量を書かないといけないということ。量からしか質は生まれないこと。毎日書き続けることが、未来につながっていくと思います。

白岩:僕も文学の新人賞に応募して作家になったのですが、「やっておいてよかった」と思うんです。あのときの自分が、今の自分を確実につくっていますし、あれをやっていなければ今はなかったと思います。結果がどうなるかはわかりませんが、言葉と向き合い格闘した経験は絶対に無駄にならないし、その後の自分に必ず生きてくる。ぜひ挑戦して欲しいです。

阿部:やるからには、ただ闇雲に出すのではなく、目的意識を持って取り組んで欲しいです。何か目的があったほうが、紡ぎ出される言葉の力は強くなる。僕の場合は、なんとしても3年間で結果を残すぞということと、自分の名前を少しでも多くの人に知ってもらうということでした。賞は、獲りたいと本気で思った人が獲るもの。どうか悔いの残らない宣伝会議賞を!


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