近くて遠い、1メートル。

コミュニケーションの断絶。

実は、運転手さんが「何も言われないから要望に応えられているはず」と勘違いしてしまうのは、一概に運転手さんのコミュニケーションの問題というわけではないのです。

なぜなら最近、運転手から話しかけられることを嫌がる乗客が増えているらしく、特に接客に力を入れているタクシー会社ほど、運転手側からむやみに話し掛けないように指導されているケースが多いらしいのです(もちろんケースバイケースですが)。

ここで前回のコラムで紹介した乗客へのインタビューを振り返ってみましょう。

乗客:ほとんどの人は運転手に対して自分から話しかけない
運転手:乗客にむやみに話しかけないよう指導されている

その結果どうなったか。
物理的には1メートルも離れていない乗客と運転手の間で、コミュニケーションが断絶してしまっているんです。
乗客は思ったことを伝えることすらできず、運転手は乗客の気持ちを理解できない空間になってしまった。

さて、もう少し俯瞰して整理してみます。

  • 三和交通さんの特長である「人に優しいタクシー」は現場の運転手にも根付いており、競合優位性としてアピールすべきポイント
  • 多くの乗客は、過去の嫌な経験や業界に対するイメージの悪さから、タクシーに対して不信感を持っている
  • ゆっくり走ってほしいと感じたことがある乗客は76%いるのに、運転手はほとんどの乗客が急いでいると思い込んでいる
  • 運転手と乗客の会話はそれほど多くないし、お互い話しかけるきっかけが無い状態

そこで我々は考えました。
伝えやすくする「装置」をつくってみたらどうだろうかと。

…と、ようやく施策のアイデアまで辿り着きました。

次回は、私たちの考えた「ゆっくりボタン」というアイデアが本当に課題解決できるのかを、試行錯誤しながら検証していった過程をご紹介しようと思います。

それではまた。

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編集協力 アイ・エム・ジェイ(夏目和彦)
編集協力 アイ・エム・ジェイ(夏目和彦)

夏目和彦/ディレクター/プランナー
愛知県新城市生まれ。2006年IMJ入社。デジタルマーケティングにおけるプランニングやディレクションを領域としながら、サービスデザインやプロモーション設計まで幅広く活動中。こう見えて1児のパパ。HCD-Net認定人間中心設計専門家。2014年度グッドデザイン賞「未来づくりデザイン賞」受賞など。

編集協力 アイ・エム・ジェイ(夏目和彦)

夏目和彦/ディレクター/プランナー
愛知県新城市生まれ。2006年IMJ入社。デジタルマーケティングにおけるプランニングやディレクションを領域としながら、サービスデザインやプロモーション設計まで幅広く活動中。こう見えて1児のパパ。HCD-Net認定人間中心設計専門家。2014年度グッドデザイン賞「未来づくりデザイン賞」受賞など。

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