「誰でも本屋になれるしくみ」が、出版流通を少しずつ変えていく

書店員はマーケター、個人ショップはセールス

柳下:実際に「ことりつぎ」を始めてみると、おもしろいデータが集まりました。1カ月で、どれくらいの本が売れて入れ替わるかという「回転率」を見ると、25〜40%という数字だったんです。

永野:それって、一般的な大型書店と比べると、すごく高いんじゃないですか?

柳下:そうなんです。売上高は大型書店の方がいいに決まっているんですけど、回転率で見た時には、個人ショップの方が、本は売れやすいんです。

永野:どういう理由なんでしょうか?

柳下:大型書店の例で考えると、毎日新刊が約240冊も生まれているような状況ですから、すべての本を読んで販売するのは難しい。それよりも、この棚の本が何冊売れたから、このカテゴリーの売り場を増やそう。という、数字を分析して売り場に反映させるマーケティングの要素が強いんです。

永野:確かに、全部の本を読む時間なんてないですもんね。

柳下:反対に、個人ショップ、例えば美容師さんがオススメする本だったら、その人のセンスを信用して髪型を任せているわけだし、信頼して買ってみようと思いませんか。

永野:たしかに!

柳下:そういう本の売り方は、マーケターではなくてセールスの発想なんです。

永野:それで、回転率が高くなるんですね。

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